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廃棄されるものに目を向けること。それが循環づくりの簡単な始め方。

ミミズコンポストを運用し始めてから約3ヶ月が経過した。
昨日フードをあげて眺めていると何やら新しい生き物がそこに生息しているような気がした(2週間前にカタツムリが出現し、いまだコンポスト内に壁にへばりつき様子を伺っている)。確実に小宇宙ができあがりつつある。

ミミズコンポストは「生ゴミ」という廃棄されるものを、ゴミ箱へと向かう現代の正規ルートから、ちょっと外し、コンポストの中に入れることによって、土になり、野菜など植物を育て、また食卓に戻り(一部は酸素をつくりだし私たちの身体に戻る)生ゴミになる・・・という循環づくりを我が家では担うことになった。

現代の正規ルートと書いたのは、おそらく100年以上前には(エリアによって異なるだろうが)、正規ルートは後者だったからだ。
ちなみに私の住むポートランド市内では厳密には、生ゴミは「コンポスト」と呼ばれるBOXに入れておくと市が回収し、巨大なコンポスト処理場で堆肥化されている(処理場と言っても広大な敷地だ)。

今更かもしれないが、このミミズコンポストは「循環をつくるには廃棄するものに目を向ければいい」という至極当たり前の事を、私に体感を持って教えてくれた。ミミズさんたちには感謝している(最近はミミズがとても可愛く思えてきている)。

日本の地域で「廃棄したいもの」。そのひとつに「竹」があった。

私は今、米国ポートランドに居ながら、エストニアと長野の仲間と一緒に、循環をつくることをテーマに会社をやっている。最初に始めた事業は、竹でつくるトイレットペーパーの定期便「BambooRoll」だ。

始めた当時は日本の竹でつくりたい思いがあったものの、断念し、海外の竹でその時できるベストな工場、ベストな方法で発売を開始し、皆さんに届けることにした。トイレットペーパーは、暮らしを持続可能な循環あるものへと変えるきっかけのプロダクトだと思っていたからだ。早いに越したことはない。そして、反応してくださる方がいらっしゃって初めて、日本の竹にも繋がると信じて始めた。

発売開始から約1年が経過し、昨年秋ぐらいから水面化で動いていたのだが、表立って「日本の竹でつくるチャレンジを始めます!」と宣言することにした。

竹は全世界に1000以上の種類があると言われており、目視するだけでも、ポートランドの竹と中国の竹と日本の竹は違うとわかる。今使っている竹に比べると日本の竹はずいぶんと扱いづらく、果たして実現ができるのかはまだ未知数のところもあるが、数歩進んだいま「やりたい!」という決意表明はしてもいいだろうと思ったのだ。

昨年リリースしてからも「我が家の裏山に竹があって・・・」「うちの地域も竹に困っていて・・・」という地域の方々からの困りごととしての竹の情報が私たちのもとにはたくさん届いていた。

もちろん竹は害なだけではなく、私も竹材の細工や、整備された竹林の美しさ(鎌倉の報国寺はほんとうに美しい)に癒されたこともあるから、手入れし適切に管理活用されれば素晴らしい自然の恩恵であることは書いておく。

が、地域の皆さんにとっての困りごとであり、廃棄したいものであることも間違いない。廃棄せずに、机にする。お箸にする。そういった活用方法ももちろんあるが、この成長が早く、どんどん伸びてくる竹だから、その一部をトイレットペーパーというものに使い、もう一度活用してから廃棄するのはあるのではないか?と思った。もう一循環してから廃棄するプロジェクトが、この「日本の竹でバンブーロールをつくろうプロジェクト」だ。

廃棄されているもの探しをはじめよう。

一方で、ミミズコンポスト以来、私が日常的にやっているのが「廃棄されているもの」探しだ。廃棄されているものの中に、何か面白いものはないか。

常日頃そうやって生活していると、ちょっとはこの社会の循環づくりに役立てるアクションができるかもしれない、と考えている。オランダだったか廃棄されるオレンジの皮だけを回収して、オイルにしている会社があった。ポートランドには廃棄を適切に回収するサブスクリプションサービスがある。事業とならずとも、ひとりひとりの生活の中でも、廃棄しているものを、そのルートからひとつ脱線させることで循環づくりが始められる。

そう、共同創業者の増村がゴミの分別に凝って数年になるが、その活動はまさにこれであり、仲間ゆえ手前味噌にはなるのだけど「やるな」と思ってみている。その増村がnoteで竹の国産化までの道のりを綴っているから興味がある人は覗いてみてほしい。



Cover Photo by Tera Keiko


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