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2023年秋、鎌倉でコミュニティコンポストをはじめる理由。みんなで新たな循環をつくろう。

2023年秋、鎌倉・材木座のシェアオフィス「はつひので」と一緒にコミュニティコンポストプロジェクトをはじめた。

「生ごみ持って、まちに出よう」

そんなキャッチコピーを掲げて、鎌倉のみんなと共に新たな循環をつくろうと。

世界の半分以上の焼却炉が日本にあるという事実

多くの人は知っている話かもしれない。だけど「ごみ」=「燃やすごみ」の方程式を疑いもせず日本で生きてきた私は知らなかった。友人から話を聞く3年ほど前まで。もちろん保有数もダントツで日本が世界一なのだ。日々分別しているプラスチックも一部は一緒に燃やされている。

一方、私が今暮らすまち、米国西海岸のポートランドでは、Gabbage、Compost、Recycleの3種類に分けて自治体による回収がなされている。Gabbageはすべて埋め立てだ。アメリカに来たばかりの頃「ごみの分別がわかりません。どうごみを分けたらいいですか?」と聞くと、「ごみ?ごみは分けなくていいよ」と言われ、この国はリサイクルされてるものがないのか?と思ったのだった。それは私の早合点で、米国では当時からリサイクルや生ごみは、循環させる資源であり、宝物であり、ごみとは別物とみなの認識があり、「ごみ」とは呼ばれていなかったのだった(日本も最近はごみ・リサイクルと併記されるようになっている)。

焼却施設に話を戻すと、昨今はその焼却施設が老朽化しており、多くの自治体が、今後のごみ処理をどうするか?という課題を抱えている。新たに大型の焼却施設を建設できる自治体は限られており(土地の問題や人口減の問題などがあるため)、隣のまちや民間の焼却施設に引き取ってもらうという選択、あるいはごみとして処理するのではなく資源化をして減らすという選択がある。資源化といってもいくつか方法があり、堆肥化、メタン化、飼料化、そのハイブリッドなどが検討されている。

一方で、埋立地がなくなり日本よりもはやくごみの削減をしなければならなくなった海外は、まず重量も容量もある生ごみに着目し、家庭での一部堆肥化、自治体の分別回収による堆肥化(とメタン化)が加速している。パリ、サンフランシスコ、今年に入りニューヨークなどの大都市、そして私が住んでいるポートランドはなんと2005年から自治体回収の堆肥化がスタートしている。


ポートランドのごみとリサイクルとコンポストの回収ボックス。ごみ(黒)が一番小さい。

なぜ今、コミュニティコンポストなのか?

では、日本で自治体主導による堆肥化、もしくは家庭での堆肥化の義務づけが可能なのか?という話だ(ここからは資源化の中でもコンポストに話を限ります、今回はコンポストの話だから!)。

まず国土が狭い。堆肥化するにはある程度の広大な敷地が必要になる(近隣へのニオイの問題もあるから)。そして、住宅も狭い。住民が多い、つまり面積に対してごみが多い、都市部は庭がない。土がない。個別に家庭でコンポストして堆肥化して、と言っても、場所もなければ堆肥の使い道もないので、なかなか厄介だ。が事実として、日本でも生ごみは半分を占めていると言われており、ごみ減量化にあたって生ごみは絶対に課題となる。

そこで提案したいのが、コミュニティではじめるコンポストなのだ。私がコンポストを始めた時、「コンポストはコミュニティで取り組むに限る」という主張を勝手にしたのだけど(笑)、日本は特にコミュニティ単位のコンポストがいいと思っている。

各家庭でコンポストを完結するのは、核家族、共働きも多い日本では運用面でも厄介だと正直思う。そもそもコンポストを開始するのに重い腰が上がらない人も多いだろう(私も1年ぐらい、ぐだぐだと理由をつけて始められなかったタイプだ)。マンション、丁内ぐらいの、小さな単位でコンポストがあったら。管理していいよ、というおじいちゃんもいるかもしれない。当番制でもいいかもしれない。子どもたちは循環の学びになるかもしれない。そして、ごみを介したコミュニケーションが増え、近所のつながりが生まれるかもしれない。ごみを持って、通勤途中にコンポスト。ごみを持って通学途中にコンポスト。というスタイルがあっても面白いのではないかと思うのだ(ついでにコミュニティビニール傘のように、生ごみを入れる容器「コンポスター」も共有物にすれば、その場に置いて行って、持って帰れるから楽だ!)。

自治体がどこかのタイミングで回収するにしても、生ごみよりも、ある程度でも処理されていた方が都合がいいだろうと思っている。

コンポストは、手放してしまった暮らしを取り戻すきっかけ

現代、とりわけ都市部の生活は、消費にずいぶんと偏ってしまったと思う。生産地と消費地が分断されつくり手の顔を見ずとも、最近では売り手の顔すら見ずに消費が始まる。そして消費のあとは、外の誰かに任せて行方を追うことは少なくなっている。また、自分で食べるものを育てる、排泄物を処理する、そんな原始的なことはもちろん、子どもをケアする、学びを与える、ごはんをつくる、掃除をする。そんな暮らしを構成していたものを、ちょっとずつ私たちはアウトソースして、手放してきている。

そんな生活の中で、私たちはごみ処理を放棄してきた。さっきまで大事な食べものだったものが、外に出たとたん、ごみになり、汚いものとなり、誰かに持っていってもらいたいものになっているのだから。

ごみを国や自治体の抱える課題を人ごととはせず、一人ひとりの課題とすること。それは、手放してしまった暮らしを家庭の中に取り戻すきっかけとなり、生産から消費、そして生産の失ってしまったループを再生する、鍵になると思うのだ。

というわけで、まずは実証実験的に、スモールスタートする「材木座コミュニティコンポストプロジェクト」。興味がある方は覗いてみてください!(そして参加希望者も募っていますので、フォームへの登録もどうぞ!)

材木座コミュニティコンポスト:参加エントリーフォーム

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