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月曜日は「植物性の食事」をする日。家族で取り組みはじめて気づいたいくつかのこと。

ポートランドで暮らすようになって、多様な食の好みに触れる機会が増えた。レストランのメニューの中には必ずと言っていいほどヴィーガンのメニューがあるし、友人知人にベジタリアンの人もいる。公立小学校のランチメニューにもヴィーガンマークがついているものがある。畜産がもたらす環境への影響のこともあり、植物性の食事には興味があった。

が、個人的には育ち盛りでいろいろな味に興味がある子どもたちには好きに食べて欲しい、それを知ることが生きる力に繋がると考えてもいる。まあ今まで散々食べてきた私も含めた大人が考えて控えればいいわけだ。が、共働きをしつつ子どもと別の献立をつくる気力までは私にはなかった。

そんな時、縁があり、こんな食のプロジェクトに関わる機会をもらった。

「地球環境に優しい食べ物は、人の体にも心にも優しい」と考え、日常の食卓に植物性食材のみで調理した食事を気軽に取り入れられるようアースフレンドリーフード「EATART」を開始いたしました。体だけではなく心が整う食卓づくりを目指します。

2022年1月11日配信プレスリリースより


このプロジェクトに出会えたのはいい機会だ。子どもたちの周りにもさまざまな食の嗜好の友だちがいるわけで興味は持っていることがわかり、子どもに、週に1回は「植物性の日」にチャレンジしない?と提案したら「うん!」と許諾が得られたので始めてみることにした。

ストイックにやっている皆さんからすると、そんなの、と言われるかもしれないが、私は小さくても変化させていくことがまずは最初だと思っている。言うは易しで、実践しないと何も始まらない。

だからハードルを下げるため、ちなみに家庭外の食事については厳密さを求めないこと(昼は学校や保育園だから)。基本月曜日だが、事情で難しい場合には曜日を移すこと。それぐらいの柔軟性を許容してはじめることにした。そして、思想や信条を持っている方々に適当に使ったら失礼だろうという気持ちがあり、「ヴィーガン」という言葉も「ベジタリアン」という言葉も使わず、かっこよくはないけど「植物性の日」と呼ぶことにした。

子どもたちと「植物性の日」を一緒に考える


始めてみて、思わぬ効用があった。子どもたちが食材、調味料に興味を持ち始めたのだ。

「豆腐はいいんだよね。バターは?牛乳は動物性だよね、牛だから。豆」。
「今日のグラタンは何が入ってる?」「バターとミルクは使ってない。豆乳と味噌とオリーブオイルです」とか。そんな話が食卓で出る。

テンペを使った時も、これは何だ?と話題になった。「蜂蜜は?蜂が働いているよ」この問いは、私も勉強になった。

これまでは、料理されてしまうと、食材や調味料の細かなところまで子どもたちが言及する機会はあまりなかったが、植物性か否か?というひとつの基準を設けたことで、いま口にするものがどういう過程を経て生産されたのか?ということに目を向ける機会となったようだ。その生産プロセスにある課題にも会話の中で触れることになった。それに蜂蜜のように、問われて気づくこともある。たまに間違えて使って「お母さん、これダメじゃない?」と言われることもある(ビギナーでごめんなさい・・・)。週に1回の「植物性の日」は食卓を家族で調べ学ぶ場に変えた。

またこれは親心だけど、子どもたちにヴィーガンやベジタリアンのお友だちがいたときに、その嗜好もひとつの選択であると理解をして、一緒にスナックやごはんを楽しめるようになる素地ができればいいなと思う。

私はどうやら、これまで調理に無頓着だったようだ


もうひとつは調理過程において気づいたことがあった。

これまで買い物時には、できるだけ近くでつくられた地元の食材を買う。放し飼いで育てられた卵や肉を買う。極力有機のものを選ぶ。包装容器を使わないように心がける。というようなことは意識的におこなっていた。食事に関しては、わりと意識をして選び料理をしている自分のつもりだった。

が、「植物性」というキーワードが登場したキッチンで、私はいかに調理の際に、ルーティンに無頓着に使い慣れた調味料や食材を使い、その生産工程に目を向けていない調味料や加工品が多かったのかとびっくりした。とりわけキッチンに常備されているものたち(出汁、オイル、調味料、糖)はもう日常に溶け込んでおり、何も考えることなく使用と消費を繰り返していたと気づいた。使いやすい鰹節の出汁、コクが出やすいバターなど、わりと味付けを誤魔化せる調味料に頼っていたということも知った。

使わない/使えないとなって始めて、その不自由さと共に、自分の消費に自覚的になることができた。まだまだ不自由で四苦八苦しているが、長い目で見ればきっと良いと思っている。

料理のレパートリーがちょっと増えた


まだ数回だけど、その無頓着調理を脱却して、どうやったら味にアクセントが出るか、美味しいと食べてもらえるかを研究中だ。幸いなことに日本の食材は植物性の料理にとって素晴らしい材料が揃っている。まず味噌。そして乾物(いい出汁になる)。海藻や梅干し。胡麻や唐辛子もとてもいい。ポートランドでも十分に手に入るし、日本の食材の味を知っていたことは幸いしていると思う。渡米時に持ってきた料理レシピ本「菜菜ごはん」が最高に役に立っている。

はじめてテンペを使いました。グラタンは豆乳と味噌とオリーブオイル。糠漬けは使える。

わりと料理が好きなほうだけど「自分が食べたいもの」をつくるより「おいしいと言ってもらえるもの」をつくりたい派だ。お友だちが遊びに来た時、ホームパーティの時、多様な食の嗜好を持っている人がいたら、前よりはちょっと、提供できる料理の幅が広がりそうであることは嬉しい。

こんな感じで始めた「植物性の日」。可能な限り続けてみたいと考えている。まだまだビギナーなので、おすすめのレシピがある方はぜひ教えてください(ちなみに前述の「EATART」はレシピ動画を公開しているので、自分でも挑戦しようと思っている)。

来週は何をつくろうか。今からちょっとだけ楽しみだ。そのうち子どもたちにもレシピを提案してもらおう。



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