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8年ぶりに米国・アフリカ首脳会議が開催

8年ぶりに米国・アフリカ首脳会議が開催される。2014年に当時のバラク・オバマ大統領によって始まったこの会議は、これまでトランプ政権下で後回しにされていた。2022年12月13日から15日にかけて、ジョー・バイデン大統領がワシントンDCで、アフリカ大陸の国家元首や上級指導者約50人を招く。

このサミットの議題は膨大だ。バイデン大統領は7月に、「米国とアフリカ指導者サミットは、共通の価値観に基づき、新たな経済的関与をより促進し、民主主義と人権に対する米国とアフリカのコミットメントを強化する。また新型コロナと将来のパンデミックの軽減、地域と世界の健康強化、食糧安全保障の促進、平和と安全の強化、気候危機への対応などにも協力していく」との声明を出している。

米国とアフリカのサミットは、2014年に当時のバラク・オバマ大統領がファーストレディとともに、セネガル、南アフリカ、タンザニアを訪れ、各国首脳や経済人と会談した翌年に初めて開催された。しかし、それ以来、米国はこの外交運動を後回しにした。ドナルド・トランプはホワイトハウス時代にはサミットを開催しなかったし、バイデンも就任1年目はパンデミックへの配慮から開催を躊躇していた。

アフリカ54か国は、2050年までに世界人口の4分の1を占めることになる。2019年6月以降、米国政府はアフリカ45カ国との間に、800以上の双方向の貿易・投資契約の締結を支援し、推定500億ドル相当の輸出・投資を行った。人道支援の面では米国は、2200万人が飢餓に直面する「アフリカの角」向けに13億ドルの支援を約束した。
米国はこれまで、アフリカ大陸を貿易やイノベーションのパートナーというよりも、問題解決のパートナーとして見てきた。「長年にわたり、米国のアフリカへの関与は、貧困削減、対外援助、紛争と不安への対処を重視してきた。しかし、これらの優先順位は、この地域で起きている劇的な変化に十分追いついていない。今日のアフリカは、最先端のイノベーションと起業家精神を刺激する世界有数の目的地として浮上しているからだ。今度のサミットは、米国がこの地域の急速に変化する力学へのアプローチを再調整する比類のない機会を提供するものだ」(ブルッキングス研究所)

12月15日:リーダーズ・デー。グッドガバナンス、人権、平和、持続可能な開発、食糧安全保障などに焦点を当てた政府会合やディスカッションセッションが開催される予定です。

アフリカにおける中国:
貿易・投資では中国が米国を上回る。2007年から2017年にかけて、対アフリカ貿易は米国の54%減に対し、中国は220%増だ。2016年、中国はアフリカで最も雇用を創出した国だった。2020年に、中国は623の企業と総額7,350億ドルの取引を行った。一方米国は、2019年以降、220億ドルを80社に投資したのみだ。中国はアフリカで46の港湾プロジェクトを支援しているが、米国は1つも扱っていない。

中国のソフトパワーも着実に成長している。2006年以来、3年に1度、中国・アフリカ協力フォーラムが熱心に開催されている。10年近く前に、中国はアフリカの人口1万人の村に衛星テレビを設置し、国営放送の無料中国語放送を流している。

アフリカにおけるロシア:
ロシアは軍事・安全保障の取引を通じて支配力を強めている。2019年のロシア・アフリカ首脳会議では、ロシアは原子力発電所と戦闘機を誇示した。ロシアによるウクライナ戦争以来、ロシア政府はアフリカ大陸のSNSインフルエンサーのサポートを獲得し、ソフトで文化的な勝利も一部おさめているようだ。

欧米諸国とは異なり、中露2カ国は、政治、官僚主義、ジェンダー不均衡などを公然と批判することなく大陸で活動しており、ビジネス取引においてイデオロギー論争が起こる可能性を減らしている。

アフリカ諸国が国連でロシアに関する決議を行う際にも、アフリカ諸国の影響力は増大かつ顕著だった。意見が分裂し、いくつかの国が重要な憲章を保留または否決した。

米国がアフリカを必要とする理由
米国はアフリカを無視することはできない。アフリカには膨大な労働人口があり、そのうちの数百万人は貧困から脱却して中産階級になりつつある。
アフリカの人口層は世界で最も若く、現在の年齢中央値は18.8歳と、世界全体の30歳よりはるかに若い。また中産階級は過去30年間で3倍の3億1,000万人に増加した。労働人口は今後20年間で年間2,000万人増加すると言われる。
また世界のレアメタルの牙城でもある。リチウムイオン電池の主成分のコバルトは、世界の3分の2以上がコンゴにある。またアルミニウム生産に不可欠なボーキサイトは世界の3分の1以上がギニアにある。
しかし、ホワイトハウスは対話をオープンにしておきたかったと言う。

米国務省アフリカ局モリー・フィー国務次官補は12月7日の記者会見で、「実際に関わって相談しながら、我々の異なる視点について話し合い、米国の価値を高めようとすることは、我々が共通して直面する課題に対応する適切な方法だと考える」と述べた。

とはいえ、すべてのアフリカ諸国に招待状が出されたわけではない。「アフリカ連合への配慮から、クーデターでアフリカ連合から停止処分を受けた政府は招待しなかった」(フィー氏)。マリ、スーダン、ギニア、ブルキナファソなどだ。米国と国交のないエリトリアとソマリランドも除外された。

(引用元)https://qz.com/us-africa-leaders-summit-biden-obama-1849873793?utm_source=email&utm_medium=daily-brief&utm_content=c68df8b7-798d-11ed-9042-5697be0404f0


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