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【うつ・AC】まわり道をした体験は、きっと誰かの役に立つ

先日、高校3年のときのクラスメイトと話をする機会がありました。じつに40年ぶりです。

クラスメイトの彼女とは岡山県倉敷市の高校で出会って、卒業後は離れ離れになっていました。私は進学で大阪へでて、彼女は地元にのこりました。

電話でお互いの近況を話し合っているうちに、長かったブランクがうそのように記憶のテープが一気に巻き戻されて、あの日の彼女のすがたが鮮やかに蘇ってきました。

彼女は同じクラスの男子と恋仲でした。キャンパスをふたりで歩く姿を見かけたことがあります。テニス部の彼女と学年一カッコいいジャニ系の彼氏。紺のスーツと黒の詰め襟が、遠くからでも目をひくカップルでした。なんか青春という甘酸っぱい言葉の響きがぴったりのような。

卒業後はずーっと音信不通でしたが、こんかい話して知ったことは、彼女は大学卒業とどうじに高3のときに見初めた例の彼氏と結婚して仲よく暮らし、いまでは孫もいる、ということでした。

すごい。ツバをつけた男をぜったいに離さないのね、当時から彼女のほうが積極的に見えたけど、やはりね、と私は内心思いました。

というのも、はじめ東京の大学に進学を希望していた彼氏を、地元の岡山にひきとめたのは彼女だと知っていたからです。イケメンの彼氏を東京に出したら、そのまま帰って来ないかもしれないと心配したのでょうか。彼女の思惑どおり、彼氏は岡山の大学を出て教員になっていました。

狙ったら外さない。彼女はやり手です。男女関係は女性が強いとき上手くいく、と言いますが、私もそのとおりだと思います。彼女は表面上は男性を立てながら、うまくコントロールしている女性なのでした。

「あなたみたいにキャリアはなくて、私はずっと専業主婦よ」との謙虚な言葉とうらはらに、電話の向こうから彼女の静かな自信が伝わってくるのでした。

私は恐れ入って「あなたは女神さまよ」と言うしかありませんでした。

彼女と私は、農耕民族と狩猟民族ほど違いがあります。農耕民族の彼女は地元にずっと居続ける安定路線(ボーイハンターだけどね)。

いっぽう私は落ちつかない性分で大阪、京都、石垣島へ転居。広い世界を見たい、此処ではない何処かへ行きたいという幼少期からの衝動に突き動かされるように移動することに萌えて、燃える人生を送っています。第1チャクラの欠損、基底欠損であります。

私に安住の地はあるんでしょうか?

それはね、ストイシズムと修行系の人生を辞めれば、手に入るように思います。そしてね、現実の中を生きるのです。

へー、よく分かっているじゃないの。

コラージュ 2019

ところで。

私だって、あんな親ではなかったら、今ごろ何をしていたかと思うことがあります。

人生前半ですでに、パートナーシップをはじめ人間関係がことごとく上手くいかなくて、否応なしに心理の世界に入ったのでした。

40歳を過ぎてから新しいことを始めるとは、我ながらよくやってるもんだ、と思わないでもありませんが、わざわざその歳になってから心理の世界にはいったのは、親との問題を解決しておかないと、このままでは何時まで経っても幸せになれないと観念したからです。

ある占星術家の人の言葉ですが、「いったん歪んで本質とは違う体験をして、その要素を本質にドッキングさせることで、魂の原型に戻ったときに、よりパワーアップした自分になれる、そういう魂の設計になっている人がいる」んだそうです。希望がありますね。私のことかな。

若いときは、この人生にどんな意味があるのかと煩悶苦悶していても、長生きしていると、無意味に見えた一つ一つがたしかに点と点、線と線がつながって星座のようにコンステレーションしているのに気づくことがあります。

一つ一つは無意味に見えたパズルのピースがぴたっとはまって一枚の絵が完成したような感動に出会うこともあります。

無意味な記憶が意味あるものに置き換わるような、あるいはガラクタだと思っていたものが宝物に変換されたような瞬間を経験することがあります。

そのとき、わたしのこれまでの人生のすべては、ここに辿り着くためにあったのだと解るのです。

しかし、こういう修行系はやり尽くした感があります。20年もやってますから。

いつまでも悟ってばかりしていちゃいけません。そろそろ現実の世界に戻らなきゃ。

さんざんダメンズに振り回されてきたから、これからはクラスメイトの彼女にあやかって主導権を握りたいものです。


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