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父への誤解がとけた日

生前の父とは、一軒家に住んで毎日父の気配を感じながら過ごしましたが、親しく口を聞いたことがありませんでした。

父の事は母から聞いた情報だけを頼りに知ることができました。

かなり変わった親子関係だと気づいたのはずっと後になってからで、小さいうちは、どこの家庭でも父親と子供の距離はそういうものだろう、と疑問をもったことはありませんでした。

母から聞いた父のはなしは、かなり悪意のこもった虚言だったことを知ったのは、父が亡くなって十年は経っていました。

それまで、父は冷たい人で、私の事にはまったく関心がないのだと母から聞かされていて、私は父から愛されていないと信じ込んでいました。


父のほんとうの気持ちを知ったのは、故郷の岡山から遠く離れた京都の山上で、霊能者をよんで先祖供養をした、その席上でした。

そのとき再会した父の口から、はじめて父の本心を知らされたのです。

「かよこは母親の言うことを信じて私を避けた」「親子らしいことを何もせんと」

霊能者の身体に憑依した父の肉声でした。

私は感動しました。

そして、父と私の関係を母が妨害していたことを知りました。

父は冷たい人ではなく、私に関心が無いのではなかったのです。

父は私を愛しているし、私に幸せになってほしいと願っているし、不幸になることは望んでいないのです。


これまで母の虚言によって、私がどれほど傷ついていたか、幸せになることを遠ざけてきたかがよく見えてきました。

これからはお父さんを信じることができる、希望を持って生きて行くことができる。


母の虚言によって歪められた父のイメージを正しく書き換えました。


その時から、私はこれからはお父さんと生きていく、と決めたのです。


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