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目的と手段

2023年7月7日の山陽新聞に環境活動家グレタさんが、石油運搬を妨害して、警察による退去命令に従わなかったために起訴されたという記事が載っていた。
気持ちはわかるが、「目的のためには手段を選ばず」は、大きな落とし穴である。
これがエスカレートしていくと、環境を守るためには、どんな行動も、たとえ暴力的であっても許されることになってしまう。そして、戦争を止めるためには、武器を持って戦うことも辞さない。平和という目的のためには戦うことが必要だとなってしまう。こういう失敗を人類は繰り返してきた。
非暴力を説いたガンディーは、目的と手段は一致しなければならないと主張した。そして、独立運動で多くの死傷者を出した事件の後、怒り狂う民衆に対して、心を鎮めて糸を紡ごうと呼びかけた。
生活必需品を自分の労働で調達しないで、自分は楽をして必要なものを手に入れたいと思ってしまったところから、機械化が始まった。機械が大量のエネルギーを消費し、遠くから物を運んだり、大量消費・廃棄という多くの無駄をもたらし、また人を互いに競争させることになった。そこから争いが生じ、環境も破壊されてきた。この全てを止める方法は、肉体労働に戻ることである。
そのカラクリを見抜いたガンディーは、一番取り組みやすい肉体労働である糸紡ぎを奨励した。糸紡ぎをバカにしてはいけない。石油の運搬を止めたいなら、石油を必要としない生活へと、私たち一人ひとりが生活の転換しないといけない。糸を紡ぐことを地道に続ければ、石油を使わないで服を作ることができる。カバンや財布も手作りできる。そして物に対する見方が変わる。心が変化する。全てが愛しいものとなる。心が満たされ、買い物でストレスを発散する必要がなくなる。周囲を巻き込んで、心に連鎖反応が起これば、やがて社会は変わっていくだろう。
今は、ネットを検索すれば、道具についての情報も、糸紡ぎの動画も掲載されている。綿を育てる場所がなくても、羊がいる施設に問い合わせてみれば、原毛を手に入れることは容易い。だから、あなたも糸紡ぎを始めてみませんか?

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