親が変わろう!不登校娘と楽しく過ごすコツ3選
娘がこの4月、大学進学のために家を離れます。
この子とは、いろいろな思い出があります。特に高校1年で不登校になってからは、彼女と宝物のような時間を過ごせました。
「宝物のような時間て何?」と思うかもしれませんが、些細なことです。一緒に夕飯の買い物に行ったり、いろいろな話をしたり、一緒に笑って、一緒に過ごした、そういう日常の時間です。
娘が不登校になったおかげで、娘と宝物のような時間を過ごせた私だからこそ伝えられることがあります。あの頃の私に、そして現在子どもが不登校で悩んでいる親御さんたちに。
不登校になるまでと、不登校になってから、そして不登校の子どもとどうやったら楽しく過ごせるのかをお伝えします。
不登校になるまで
不登校になったのは高校1年の3学期からです。それまでは普通に学校に行っていました。
中学校では
そういえば中学生のころから兆候があったのかもしれません。ずっと「クラスが楽しくない」と言っていました。性格的に内向的であまり人とかかわらず、ということは全くなく、どちらかというとその逆。社交的で友だちも多く、初対面の人とでもすぐに打ち解けられるタイプです。しかし、クラスは楽しくなかったようでした。
クラスが楽しくないとは言っていましたが、部活の吹奏楽に熱中していたので、部活のために毎日学校に行っていました。娘の入った吹奏楽部は全国大会出場を目指している、土日も休みなく一日中活動をし、お盆やお正月にやっと少しだけ休みがあるという部活。そんな休みのない部活でも、真剣に、楽しく活動していました。部活に行きたいがために、学校に行っていたと思います。
高校では
高校生になり、吹奏楽部に入るかどうか迷います。娘の結論は「大学に行きたいから、入らない」でした。そしていきなり最初の中間テストで学年1位の成績を取ってきました。これにはびっくり。頭は悪くないのですが、学年1位を取るほど頭がいいとは思っていなかったのです。
そして1年1学期の期末テストは学年2位。2学期の中間テストは、また1位、期末は2位という好成績をキープしました。
まさか不登校?
3学期になると学校に行きたくないという日が増えました。「明日は行く」と言っても、当日になると行けないのです。
「まさか、不登校?」でした。「高校生で?いまさら?」という気持ちでした。勉強についていけないわけでもなく、友だちとのトラブルがあったわけでもなく、理由が見当たりません。
結局、いまだに不登校になった理由は不明です。本人に聞いてもわからないと言います(嘘か本当か知りませんが)。「学年1位になるほど勉強して燃え尽きたんじゃないの?」と思われるかもですが、そんなにガリガリ勉強していませんでした。
不登校になってから
不登校になってから大学受験までを振り返ります。
高校2年のとき
高校1年の1学期・2学期はきちんと登校していたので出席日数の貯金がありました。ですので3学期かなりお休みしても、進級するための出席日数と単位は何とか足りたようです。
しかし2年生になっても、相変わらず学校に行きません。学校に行かないくせに、文化祭には参加して楽しんでいます。学校に行かないのに、修学旅行には行きました。
文化祭も、修学旅行も行ったら行ったで楽しんで、「楽しかった~~!」と帰ってきます。親としては「じゃあ、学校も行けよ!」と思いますよね。
進級問題
2年生の時は、担任の先生と話をしたり、保健室の先生と話をしたり、私も何回か学校に行きました。そして、出てきました進級問題。「このままじゃ進級するための出席日数が足りなくなるよ」ということは何度も担任の先生から言われていて、保健室の先生も「保健室登校でいいよ」と言ってくれます。
もちろんお察しの通り、ここで子どもが心機一転学校に行くようになるはずもなく、出席日数は足りなくなります。次に出てくるのが「留年する?問題」。先生によると、一般的には進級できないと決まった時点で休学し、次の年にまた同じ学年からやり直す、いわゆる留年を選ぶ子どもが多いんだそうです。
娘の選択は
娘が選んだ道は、そのまま3年生になり、「高等学校卒業程度認定試験」(高卒認定)を受けて大学を受験することでした。そのまま3年生になるということは、2年を終えていないので「卒業」はできません。そのため正確には「3年生になる」ではなく、「3年のクラスに参加する」ですね。
と、いうわけで高校を卒業できないことが高校2年の時点で決定しました。
大学受験
高校3年(仮)のときも相変わらず学校には行かず、それなのに文化祭や体育祭はちゃっかり楽しむというイイトコドリ。担任の先生が良い方で、普通不登校の生徒がクラスにいるとすごく面倒だと思うのですが「○○さんの担任になれて嬉しい」と言ってくれました。娘も先生を信頼して進学の相談などをしていました。
8月に高卒認定の試験があり、それに合格し、大学受験の切符を手に入れます。私はほとんど娘に「勉強しなさい」と言ったことはありません。しかし、「私の」不安が高まると、たまに娘に「勉強は?」と聞くこともありました。それを娘はかなり嫌がったので、それ以降は一切言わないようにしました。それはそうですよね、私の不安を彼女に押し付けていたのですから。
1月にセンター試験を受け、それからどの大学を受けるのかで、悩んだようです。結局「絶対浪人したくない」ということで、今までの希望だった大学よりも、確実に受かるだろうと思われる大学を受験することにしました。
その結果、めでたく合格し、「成績優秀のため入学金半額免除」のおまけもついてきました。私にはこの入学金半免が一番うれしかったです。
不登校の子どもと楽しく過ごすコツ
私は「『学校に行った方がいいんじゃないの』とは一言も言いませんでした」などと、カッコイイことを言いたいですが、そんな「できている」人ではないので、言いました。子どもに。「学校行った方がいいんじゃないの?」と。「なんで学校に行かないの?」と。
しかし、アドラー心理学でいう「課題の分離」をし、期待を手放し、思い通りにしようとしない方がいいということがわかっていたので、不登校生徒の親としては気楽に過ごせたと思います。
では、そんな不登校の子どもと楽しく暮らす3つのコツを詳しく見ていきましょう。
自分の課題か子どもの課題か見極める
自分は自分、他人は他人です。そして、実の子どもでも「自分」ではありません。私は、娘が学校に行かないことは私の課題ではないということが明確でしたので「自分のメンツのために」娘を追い詰めるということはしませんでした。子どもの不登校を「自分の課題」と捉えてしまうと、ダメな親だと思われそうとか、「私」が何とかしなければと余計な力が入ってしまって、地獄になりますよね。親も子も。
私の知り合いの方の娘さんも不登校だったそうなのですが、当時「娘の課題は自分の課題」だと思って娘さんを学校に行かせようとして苦しかったと言っていました。今は、はっきりとその課題は自分の課題ではなかったことがわかったそうです。
期待を手放す
「明日は行く」と子どもが言う。翌日の朝になったら「行かない。行けない」と言う。「え?行くって言ったでしょ。嘘つきやん」と思いますよね。
私も思いましたね~。
しかし、そんなのはすべて手放しましょう。子どものためではなく自分のために。勝手に期待して、勝手に裏切られた気分になっているのですから。子どもからすると迷惑な話です。
思い通りにしようとしない
「今この子を放っておいたら、将来が心配」そう思っていろいろ言いますよね。しかし、言ったら言うことを聞くのなら、不登校にはなっていません。無理やり言うことを聞かせていたら、子どもがもっと壊れて、将来がさらに心配です。
「普通に学校に行ってほしい」と思う気持ちはわかります。私も思いました。しかしこの気持ちの根本にあるのは「ただ単に親が安心したいだけ」ではないでしょうか。親の方も一度、「どうして子どもに学校に行ってほしいのか」をじっくり考えてみてください。
親の思い通りにならないのが子育てです。思い通りにしようと思う気持ちを手放した方が楽になれます。子どものことではなく、自分のことに集中しましょう。
親が変わろう~視点を変える~
親としては子どもに学校に行ってほしいですよね。しかし子どもは行けないのです。学校に行った方がいいというのは子どもの方が強く感じています。しかし、行けないのです。
できないことを「なんでできないの?」と言われて困った経験はありませんか。私はあります。私はとてつもない方向音痴なので、「普通」の人が、「普通」にわかる道がわかりません。そのとき「どうしてできないの?」と言われても困るのです。
子どもを責めたり、追い詰めたりするよりは、視点を変えてみませんか。不登校はある角度から見ると問題かもしれませんが、別の角度から見ると子どもと楽しい時間を過ごせるギフトかもしれません。
今この状況になってしまっているなら、この状況でできる楽しいことは何だろうと考えてみてください。親の視点を変えることによって、不登校の時間を地獄にも天国にもできるのです。
私は不登校の親としてはかなり気楽に過ごしましたが、それでもやはり気をもんだこともありましたし、困ったなと思ったこともありました。しかし、気をもんだからと言って事態が好転することはありませんでした。ですので当時の私に気をもむだけ無駄だと伝えたいです。
現在不登校の子どもを持つ親御さんは、本当に心配なことだと思います。不登校にはさまざまなケースがあり、「絶対この方法がいいよ」ということは言えません。しかし今回お伝えした3つを心にとめておいてほしいと思います。すると少しは気が楽になるのではないでしょうか。