育つ記憶、刻まれた瞬間
日常のささいな出来事は、すぐに記憶の彼方へと消えていく。しかし、心に深く刻まれた大切な思い出は、歳月とともに輝きを増し、重みを持つようになる。それを脳科学者の茂木健一郎氏は「過去は育つ」と表現している。
この季節にしか漂わない特有の香り。その濃厚で甘い香りをかぐたびに、大学時代に一人暮らしをしていた頃の出来事が鮮明によみがえる。あの大変だった日々、そして全力で恋愛をした経験も思い出す。どちらかというと苦しかったはずの思い出だが、時が経つにつれて、貴重な宝物のように思えるよう