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エリートは歩けない鶏の卵を食べない

ある日本のテレビ番組で、行列のできる卵かけご飯店の養鶏施設を見た時、もしこのお店がアメリカに進出したらバッシングの対象になるなと思いました。なぜなら、その施設の鶏はみんな身動きできないケージに入れられていた、つまり拘束された不幸な身の上だったからです。

アメリカのエリートは環境問題にもアニマルウエルフェア(動物福祉)にも敏感です。以前のブログでも書きましたが、たとえ食肉であっても、生きている間は尊厳を持って扱うのが当たり前と考えます。

鶏は動物です。動物は動かなければ、筋肉が衰え、骨がもろくなり、脂肪が増えて慢性病になります。ですから、どんなに美味しい餌を与えられていても、ずらりと並んだケージに隔離され、歩くことも許されない混雑した環境に拘束される鶏は、精神的にも肉体的にも虐待を受けているのと同じ、と考えるのです。

日本では今でもケージに閉じ込められた鶏の卵が普通に流通しているのは、消費者が声を上げないからです。カリフォルニアでは、2018年に住民投票によって、ケージ飼育の鶏の産んだ卵の売買が禁止になり、鶏は、少なくても歩く権利を取り戻しました。

しかしそれだけで満足しないのがアメリカ人です。現在、以下のようなアメリカ農務省の規格で、ある程度ですが、卵を産んだ鶏の幸福度を知ることができます。

「cage-free or from free-roaming hens(平飼いまたは自由に歩き回る鶏から生まれた卵)」とは、親鳥は自由だけれど屋内で育ち、外に出る自由はないことを表します。

「Free-range or pasture-fed eggs」とは、屋外で、または屋外に自由に出られる環境で育ち、餌以外にも虫や草も食べ る鶏から生まれた卵を示します。

さらに、USDA’s National Organic Program label (アメリカ農務省発行オーガニック認定証)がある卵は、化学肥料や薬品散布のない環境で、自由に屋外を歩き回り、オーガニックの餌で育った鶏から生まれたことを表します。

食べるということは、命をいただくことです。食べ物を大切にすると同時に、家畜の尊厳が守られる世の中になってほしいと思います。

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