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エリート流ステーキの食べ方

一口に牛肉といっても、アメリカには多くのグレードがあり,
同じNYステーキでも値段は~$10-50/lb(100gでおよそ200−1000円)と様々(もっと高いのもあります)。健康効果、安全性、環境へのインパクトも大きく違います。

皆さんはアメリカンビーフは安いと思うかもしれませんが、安い牛肉はいわゆる規格外品。良識のある人は買いません。

規格外の下の肉はUtility, Cutter and Canner(加工用)というランクで、ファストフード店のバーガーやホットドッグに使われます。

言い換えると、ファストフード店のバーガーやホットドッグは、加工上のスクラップ肉、もしかしたら肉でもないドロドロの混合物を添加物で固めたものかもしれないので、やはり良識のあるアメリカ人はなるべく食べないようにします。

最も一般的な規格は、USDA(アメリカ農務省)が筋肉の霜降り度で決める、上からプライム、チョイス、セレクトという格付けですが、これではその牛が何を食べて、どんな環境で何歳まで育ったか、抗生物質やホルモンの使用歴、歩けたか、病気ではなかったかは全くわかりません。

そこでUSDAが新たに加えたのが、グレードがオーガニックミートです。

USDA認定証のあるオーガニックミートとは、遺伝子組み換え、放射線、抗生物質、成長ホルモンを使わないで、自由に外に出られる環境で、USDA認定のある牧草と穀物で育ったものです。

ところが、これだけでは、無理やり食べさせられたり、虐待されていてもわからないという観点から生まれたのが、Animal Welfare Rating System、動物と環境を守るための五段階の格付けです。

この格付けでは、一番低い格付けでも、隔離や混雑した環境が禁止され、生育環境の50%以上の敷地が牧草地であることに始まり、次の段階ではグルーミング設備や日除けの設置などの環境整備があること、その上の格付けでは嵐などの危険な場合を除いて野外で育てること、75%以上の敷地が牧草地であること、最も高い格付け(ステップ5+)では、子牛は自然に離乳させ、一生涯同じ牧場で育てることとなっています。

放牧で育つ牛の糞は土を肥やし草原と森を育てることから、動物にやさしい畜産は、環境破壊にならないと考えられています。

牛肉の栄養価と安全性は飼料によって決まります。

牛は本来、カロリーの乏しい草を長い時間反芻して栄養素を取り出すことで生きたので、牧草で育った牛の腸内には食物繊維を好む微生物が繁殖し、牛の健康を守ります。また、牧草で育った牛の脂身やミルクは、牧草に豊富な栄養素、ビタミンA、ビタミンE、オメガ3脂肪酸が含まれています。

一方、コーンや穀物など、牛が本来食べるものではない餌で育った牛の消化管に雑菌が繁殖しやすく、脂身も、現代人が摂取過剰の栄養素、オメガ6脂肪酸で構成されています。

コーンや穀物で育った牛は肥満して霜降り肉になるので大衆好みですが、アメリカのエリートが選ぶのは、環境が整備されたオーガニック牧草地で育った牛、グラスフェッドビーフです。理由は2つ。1つ目は環境にやさしいこと、2つ目は、牧草だけで育つため赤身が多く、脂身には牧草由来の栄養素、ビタミンA、ビタミンE、オメガ3脂肪酸が豊富だからです。

少々高くても、環境にやさしく健康効果を含むステーキを、特別な日に、家族や友人と楽しく食べるのが、エリート流の牛肉の楽しみ方ってとこでしょうか?


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