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ココナッツオイルは不健康オイル

アメリカでは今やあまり聞かなくなったココナッツオイルですが、日本ではいまだにココナッツオイルが健康に良いと吹聴する困った人々がいます。

ココナッツオイルの成分

オイルの主成分は、中性脂肪です。中性脂肪とは、グリセロールという分子に3つの脂肪酸がくっついたもので、脂肪酸の種類によって性質が違います。

90%がラードや牛脂と同じ飽和脂肪酸

ココナッツオイルの場合、約90%が飽和脂肪酸で構成されていて、健康効果があるオレイン酸はわずか6.5%しか含みません。ちなみにオリーブオイルは、オレイン酸が主成分です。

74%が肝臓に負担をかける脂肪

含まれる脂肪の約74%が、LCT( Long-Chain Triglyceride;長鎖脂肪酸で構成された中性脂肪)です。上の図では、赤線で囲ったパルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸です。これらの脂肪酸は、体脂肪を増やし、肝臓に負担をかけ、LDLコレステロール値を上昇させ、心臓血管病のリスクを上昇させます。

15%がエネルギー変換が早い脂肪

なぜココナッツオイルが良いと勘違いする人がいるかというと、ココナッツオイルには、MCT( Medium-Chain Triglyceride;中鎖脂肪酸で構成された中性脂肪)がわずか(約15%)に含まれるからです。上の図では、緑色の線で囲った、カプリル酸とカプリン酸です。

MCTだけなら健康効果あり

MCTはLCTに比べて短いので、消化吸収が早く、肝臓にも負担をかけずに、速やかにエネルギーになるため、アメリカでは、セリアック病、クローン病、過敏性大腸炎、膵炎などの患者さんに、MCTオイルが処方されてきました。てんかん患者の栄養管理にも役立っています。

臨床試験では、MCTは体重を減らす、体脂肪を減らすなどの健康効果が報告されています。

臨床現場で使われ、効果が確認されているのは、脂肪酸を構成する炭素の数が8個のカプリル酸と10個のカプリン酸でできたMCTオイルだけです。

ココナッツオイルに豊富なラウリン酸はMCTに分類されますが、生体内ではLCTとして代謝されます。

ココナッツオイルはとても安価ですが、MCTオイルは高額なので、ココナッツオイルをまるでMCTオイルのように宣伝して売ると儲かります。

ココナッツオイルとMCTオイルは別物

もしあなたが、「炭水化物と糖分摂取(フルーツを含む)をいっさいやめて、カロリーをオイルでとる」と言うなら別ですが、それでもオリーブオイルや魚に豊富なオメガ3脂肪酸を食べなければ、心臓血管病を含む慢性病のリスクは高まります。

ココナッツオイルは健康的なオイルではありません。特に日本型の食生活でココナッツオイル摂取が増えれば動脈硬化が進み、心臓病、認知症のリスクが高まります。

残念ながら、医師でさえココナッツオイルをすすめる人がいます。くれぐれもご注意を。


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