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TOFIは危険

皆さんはTOFIってご存知ですか?お菓子のTaffyに似た名前だから食べ物を思い浮かべるかもしれないですが違います。でもTaffyを食べすぎるとなるかも?

TOFIとは、thin-on-the-outside fat-on-the-inside (見た目は痩せていても中身はブヨブヨな体)を表す医学用語で、別名Skinny fatとも言います。TOFIは、肥満よりもメタボリックシンドロームの危険性が高いことが知られています。

日本肥満学会では、肥満度の指標であるBMI(Body Mass Index)が18.5以上25.0未満を普通体重とし、それ以下を低体重、それ以上を肥満としています (BMIは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算できます)。例えば、170cmの人の体重が53kgから72kgの範囲だと標準体重、それ以上だと太っている、ということになります。でも、この「体重が重い=太っている」という考え方に大きな落とし穴があります。

上の写真は、同年代で、見た目が同じような体型2人のMRI画像です(参考文献)。左の人はBMIが 25·8で、右の人は、BMI が26·5ですから、右の人の方が太っていることになります。

ところが、MRIで脂肪の量を測ってみると、左の人の内臓脂肪は3.3リットル 、右の人の内臓脂肪は2.2リットルだったので、肥満なのは左の人、つまりTOFIでした(画像の白い部分が脂肪です)。

アジア人は、膵臓のインスリンという血糖を下げるホルモンを出す細胞(β細胞)が少なく、インスリンの分泌量が低い傾向にあるそうです。インスリンが低いと、筋肉量が増えにくいのでTOFIになる傾向があり、血糖値が下がりにくいため、米飯を中心としたアジア型食生活を続けることで、糖尿病になりやすいと考えられています(参考文献)。

年齢に関わらず、間違ったダイエットで体重を落とす人、インスタント食品やコンビニ飯で簡単に食事を済ます人の体内では、筋肉が減り、余った血糖は中性脂肪に変換されて内臓脂肪になるので、体型が変わらないままにTOFIは進行します。

特に日本の高齢者は、ご飯の進むおかずやパンのお供で主食ばかり食べがちで運動しないことから筋肉が落ち、TOFIが進行するので注意が必要です。

TOFIからの脱却の第一歩は、頻繁に立ち上がること。それができれば歩く、ちょこちょこ動く、簡単な筋トレなどで筋肉を増やすことです。

アメリカではTOFIは少なく、逆に太っているのにやたらと元気な人、いわゆるHealthy obesity(健康的な肥満)が結構います。フルマラソンやトライアスロンの参加者を見ても、太った中高年を見かけます。ヨーロッパ系の人はアジア人より皮下脂肪が多いため、お腹は出ていても内臓脂肪がつきにくいのですね。

もちろん、ぶくぶくに太るのは良くないですが、見た目ばかり気にして、ほっそりしてても中身がブヨブヨにならないように気をつけたいものです。


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