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グローバルでのモノづくり、あるいは、カイゼンと自己効力感

Olloはそれなりに事業基盤が確立した弥生とは異なり、純然たるスタートアップ。こんな機能があったらいいよね、という議論になれば、すぐに実装するというスピード感がスタートアップならではです。これまでとはだいぶ異なる、刺激に満ちた日々。

これまでとは異なるという意味では、スタートアップでは避けて通れない資金調達もなかなか刺激的です。弥生も投資ファンドが株主である時期が長く、広い意味での投資家の皆さんとのやり取りはむしろ経験豊富な方だとは思います。そんな私でも、スタートアップに投資をするベンチャーキャピタルの皆さんとのやり取りは新鮮です。

投資家の方からは色々な質問をいただきますが、比較的よくある質問が、Olloがはまる(Olloと相性がいい)お客さまとはどういったお客さまなのか、というもの。前回は、Olloがはまりやすい会社には、1. カイゼンに対する強いこだわり、2. グローバルでのモノづくり、3. 人中心のモノづくり、という3つの共通項があるとお話ししました。今回は2. グローバルでのモノづくりについて。

2. グローバルでのモノづくり

OlloはAIを活用し人の作業のばらつきを可視化することによって、製造業のカイゼンを飛躍的に進化させます。カイゼンに強いこだわりを持ち、これまでも徹底的にカイゼンを進めてきた会社ほど、実はこれまでのやり方に限界を感じているもの。しかしOllo Factoryを使うと、やりたかったけれどできなかったことが、できるようになる。これまでのカイゼンの限界を超えることができる。

限界の一つの典型例が、海外での生産です。つまりグローバルでのモノづくり。日本の生産ラインは、目が行き届きやすく、また、従業員の意識も高いので、カイゼンは進んでいる。日本国内だけでモノづくりをしている分には、限界を感じることはないかもしれません。しかし、海外に出れば状況は一気に変わります。あくまでも一般論ですが、海外の生産ラインでも日本と同じ生産性を達成できているかというと、そうではない。そこには大きな差があることが一般的です。

プレスリリースを行なった住友電装での正式採用に際し、決め手になったのが、カンボジア工場で目覚ましいカイゼン実績を上げることができたことでした。

これは住友電装に限った話ではありませんが、一般的に発展途上国でのカイゼンは難しいとされています。これはそれぞれの国の教育水準の影響もあるのではないかと思います。例えばカンボジアの前期中等教育(日本でいう中学校)の修了率は40%前後(出所: ユニセフ 世界子ども白書2023)。ばらつきを可視化し、カイゼンにつなげるためには、箱ひげ図などを利用しますが、発展途上国では箱ひげ図を理解してもらうのは容易ではありません。

もっとも、これは個人的な仮説でしかないのですが、発展途上国でカイゼンが進みにくいのは、箱ひげ図が理解されないといったテクニカルな理由以上に、自己効力感といったような、もっと本質的な課題があるのではないかと考えています。教育は単に知識を得るだけでなく、自己効力感を得ることでもあります。学ぶことによって、できることが増える、できると褒められる。そうやって、人は、自分はある結果を生み出すために必要な行動をうまく行うことができるという確信を得ることができます。それが自己効力感です。

カイゼンと自己効力感

カイゼンに欠かせないものは何か。実はそれは自己効力感なのではないでしょうか。自己効力感が低ければ、人は今あるものを受け入れることしかできません。つまりカイゼンをできるとも、しようとも思わない。それに対し、自己効力感があれば、自分は成果を良い方向に変えることができるという確信が持つことができます。だからこそ、カイゼンする意欲がわく。

Ollo Factoryは箱ひげ図を表示することもできますし、箱ひげ図のような統計的な手法を使えば、より効率的にカイゼンを進めることができます。しかし同時に、Ollo Factoryは箱ひげ図のような統計的な手法を使わずとも、カイゼンを進めることができます。Ollo FactoryはAIでばらつきの大きい作業工程を自動でピックアップしますから、ピックアップされた作業工程をビデオで比較再生すれば、すぐにカイゼンの糸口を見出すことができます。

誰でもOllo Factoryを活用すれば、カイゼンできる。そしてその事実が、自分にもできるという自己効力感につながり、そしてその自己効力感がさらなるカイゼンを進めるエネルギーとなります。

随分と大袈裟なことを言っているのは自覚していますが、Olloはカイゼンを促し、同時に自己効力感を育てることによって、グローバルでのモノづくりを大きく進化させる力があると考えています。


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