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夜道の散歩

小さな女の子みたいな母。

ずっと昔、母と祖母と三人で暮らしていた頃、よく母と二人で夜道を月をみながら散歩した。あなたは私の宝物、と言ってうれしそうに笑う彼女を、守ってあげたかった。私もまだ小さな女の子だったけれど。

長い時間を一緒に過ごした。でも私と母は幾度となくぶつかり合った。何となく、いつか必ず解り合えるような気がしてた。だけどそれは私の勝手な妄想で、私達は傷つけ合い、すれ違い、それから微かな祈りのような感情を持ちながら、全く別の世界を生きてきた。

幸せになってほしいと思う、心から。だけど私は自分の価値観を一方的に押し付けていただけかもしれない。母にも、何かの縁でかかわった全ての人達にも。時々、そんな風に思う。彼女たちをその場所から掬い上げることが出来なかったから。

償いのような、言葉の代わりのような、そんな気持ちから絵を描き始めたようにも思うけれど、寄り添って欲しかったのは本当は自分だったこと、更に描くことがいつの日からか自分を支えていたことに気がついて、移り変わっていく自分の気持ちに、その過程を私にプレゼントしてくれた「絵」に、感謝している。

それでも時々、また同じようなことを思う。

もっと温かで穏やかな優しいコミュニケーションができたら良いのに。イブにみた、街角の歌うたいの青年の、クリスマスソングみたいに。

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