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愛人みろく

みろくは白キジ猫の女の子。
”愛人”とも呼ばれている。

もともとお外の仔だったみろくがうちに入ってから一年ちょっと。
私の寝室をみろくの部屋にして、
彼女はお外の世界も楽しみつつ、家猫をやっている。

なぜ愛人と呼ばれるのかというと、
うちには先住猫のまんちーがいるから。

猫見知りで内弁慶の我が家のドン。
キジトラの女の子。


みろくはめちゃくちゃ「気の強い女子」で、
まんちーはめちゃくちゃビビりの内弁慶。

仲良くなってくれないかとトライしたものの、
みろくはまんちーに飛びかかり、
まんちーはおしっこちびりまくる、という始末。


一緒に生活することはできないと判断し、
私の寝室をみろくの部屋にして、お外にも出れるようにした。

今では外のウッドデッキからまんちーの部屋を覗いては、
プチやんのかステップを繰り広げている。


晴れた日の朝、みろくはやってきた。
我が家のウッドデッキに置いてあった、外猫用のご飯を見つけてしまったらしい。

カリカリを食べているみろくと目があった。
「やばっ」という目で私を見て、みろくの動きが固まる。

食べるのは構わないのだけど、それはキジ男という尿石症の子の療法食。
普通のカリカリをあげようと、台所に取りにいっている間にみろくは逃げてしまった。


それからも、
みろくは外にあるキジ男のご飯を目当てにやってきた。

私はみろく用に普通のご飯を用意しておいて、みろくが来たらそれを出すようにした。

そのうち、私のことを「いいやつだ」と認識してくれたみろくは、
お皿を見たら自分のご飯だとわかるようになった。

そこで、みろくには勝手口でご飯を食べてもらうことにした。
お皿を見せながら歩いてみろくを案内すると、すんなり勝手口についてきた。

賢いみろくは、私のダイニングはここなのね。とすぐに認識してくれた。

それからみろくは、毎日勝手口でご飯を食べるようになった。
「みー」と呼ぶと、どこからでも走って出てくるようになった。

もともとミーという名前で飼われていたのかもしれないな。
何度かそう思った。

私は衣装用のプラケースで作っているキジ男の猫ハウスをみろく用にして、勝手口に移動させた。
それからは、みろくは毎日その猫ハウスにお泊まりするようになった。
昼間は横にあるクッションの上でぐうたらと過ごし、
夜はプラケースのみろくハウスに入って寝ていた。


数日経った頃、
みろくがやたら脚を舐めているのに気づいた。

見てみると少し怪我をしているようだった。

ちっちゃな怪我だし、このままで大丈夫かな?としばらく様子を見ていたけれど、よくならない。
どちらかというと悪化していっている。

病院に連れていくと、「舐め壊している」とのこと。

とにかく舐めないようにすることでしか治らない。と。

にゃんこだからそれは無理よね〜と心の中で思っていたら、
「カラーをつけて舐めないようにしないといけない。」と先生。
そして、
「脚だから普通のカラーをつけても絶対舐めれてしまう。ダックスフンドがつける長いやつにしないと。」と。

2、3週間かかるだろうとのこと。
それで治らなければ癌などの可能性もあるからそこから別の対処だと。

言われるままに、ダックスフンド用のカラーを購入し、
抗生剤をもらって帰ったものの、
こんなちっちゃい怪我でほんとにそこまで必要なの?と疑う私。

お外で自由にしている子を、いきなりケージで生活させるのもかわいそうだしなぁ。
2、3週間カラーの生活も辛いだろう。と踏み切れない。

試しに家に入れ、ケージに入れてみたが、ケージの中で怖がるみろく。
見ているこっちが辛い。

一旦抗生剤だけで様子を見てみようと数日間薬だけで過ごした。


お外で安心してご機嫌なみろく。
だけど、その間も脚をぺろぺろと舐める。

「舐めちゃダメだよ」
といっても通用するわけもない。

ケージに閉じ込めるのと、カラーをするのがいやな私は、
別の方法もあるのでは?と、別の病院に連れて行ったが、
やっぱり同じことを言われた。

ちょうど発情がきたところだったので、
覚悟を決めた。
避妊手術をしてみろくはカラーをつけた。


カラーをはめたみろく


避妊手術ついでに怪我部分の検査もしてもらった。
幸い、癌の可能性は低いとのことだった。
ただ、ちょっと気になるところもあるので、カラーをつけてよくなるかはまだわからないとも言われた。


カラーをつけたみろくは自分でご飯が食べれない。
お水も自分では飲めない。

その日から、私とみろくの蜜月が始まった。

つづく。

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