不器用

仕事をしていると逃げていられる。

そう自覚したのは最近。

”仕事”というより、
”雇われていれば”といった方がいいかもしれない。


ここ2年ほど、私はNPO団体の職員として”雇用”されていた。
担当は企業交渉。
アニマルウェルフェアという動物福祉に取り組んでもらうよう、
企業と交渉する仕事。

NPOという今までにない業界。
久しぶりの雇用されるということに不安もたくさんあったし、
わからないことだらけ。

でも、動物愛護活動はなによりもやりたいこと。
私にできることを精一杯やった。

そこは、東京の動物愛護団体で、私は初の地方採用。

1日8時間。
フレックスで完全在宅勤務。
フレックスとはいえ、
私の業務上、9時から17時がコアタイムのようなものだったけれど、
完全リモートワークで全てが完結するのはありがたかった。

入職した途端、
私は仕事以外なにもしていないのではないかというくらいに、
仕事漬けとなった。

金曜日がこんなに待ち遠しく、
土曜日がこんなに嬉しいものだったとは、、、

知らなかった。

もしくは、
あまりにも昔のことすぎて忘れていたのかもしれない。


組織の中にいれば、
”役割”を与えられて、
それをこなすことでなにかしら役に立つことができて、
役に立っている実感があったり、
成果を出すと褒められたりもする。

そしてお金までもらえてしまう。

他の人よりも結果を出せば、
自分ができる人間、
必要とされる人間、
と、自己承認につながる。

さらには感謝もされたりすると幸福感も増す。

仕事をしていれば、他のことを考えなくてすむ。


成果を出せている自分が嬉しいし、
自分で自分を誇れて心地いい。

仕事さえしていれば、周囲から認められて、
自分でも自分を褒めることができて、
毎日社会と関わっている感覚があって

なんだか安心していられた。


「毎日忙しいから。」

「平日は仕事と家のことやったらもう何もできない。」

「土日は休まなきゃ。」

そんな言葉で2年間、
私は仕事以外なにもしていない。


実際には、
なんにもしていないはずはなく、

日々、やるべきことを淡々とこなしたし、
猫助けや犬助けはしていたし、
怪我をしているたぬきを保護したこともあった。


でも肝心の、
”個人事業の仕事”には全く手をつけず休業状態。
目先の作業をこなすことで満足していた。


思惑としては、
2年間、動物愛護団体で学んで、
それから自分の保護活動も少しずつ広げていこうと考えていた。

そして、
保護活動のために、
しっかり自分の事業で稼ぐつもりだった。

でも、私は日々の仕事をこなすことでやった気になっていて、
本当にやるべきこと、考えなければいけないことから逃げていた。

忙しいから。
疲れているから。
がんばっているから。

言い訳ばかりだった。

自分と向き合うことから逃げていた。


20代の頃、私は「ワーカホリックだ」と言われていた。

だから、
自分は仕事にのめり込むんだな。
とか、
仕事をしていると他のことが見えなくなるんだな。
とか、
そんな風に思っていて、

単に、”仕事が好き”
だったり、
”楽しいからのめり込んでしまう”くらいに思っていた。

でも、そうじゃない。

そんなに単純なことじゃない。


自分が本当はどう生きたいのか

本当にやりたいことはなんなのか

心から求めている悦びはなんなのか


そこと向き合えずにいたんだ。


今も昔も、
目の前の出来事は違えど、同じことをしている。


逃げるって、
結構パワーいると思うし、
疲れると思うし、
罪悪感とかも出てきそうで、
すごくしんどいはずなのに、


自分と向き合ったり、
チャレンジすることに比べたら、
きっと逃げていた方が楽なんだんな。

そんな風に思った。



ここまで書いてみて、
自分がさも逃げて怠けていたような印象を受けるのだが、
そもそも、私がそんなに能力の高い人間ではないだけなのだと気づいた。

「私、一つのことしかできないんだ。」

実は、最近それにも気づいていた。

世間のうまいことやれる人みたいに、
「まずは副業から始めて、利益が出始めたら、、、云々、、、」
とか、
「先を見据えて準備だけしておいて、、、云々、、、」

頭ではわかるし、そうしようと思うのだけれど
できたことがない。

そんなに器用ではないらしい。


逃げてた説もたしかにあるけれど、
「逃げていたと思うなら、これから逃げなきゃいいじゃん。」

それだけのこと。


そもそも、
そもそもは、
実はこれが私の”精一杯”ってことなんだよね。


計画立てて目標達成!とかできなくて、
先を見据えて同時進行とか無理。


目の前の仕事をこなし始めたらそれしかできない。


それが私なんだ。


それでいいや。













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