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作曲に必要なのは「知っている」ということ

ざっくりとしたタイトルですが、要は知ってるか知ってないかでは雲泥の差が出ると思っています。「何を知ってればいいの?」ですが、これは多岐に渡ります。

1. いろんな音楽を聴いて記憶されているかどうか 。

 一般人リスナーのように聴くだけではなく、このメロディの時どんな和音が使われているか、どんなベースラインだったか、その音のリリースはどのくらいだったか、リバーブはどのようにかけられていたか、どの調に転調されていたか、BPMは?拍子は?
など様々なことに意識しながら聴く、そして沢山の音楽を知っていれば思い出して似たものを作れます。ただし、ここに音楽作家としての葛藤があります。「アノ曲に似てるじゃん」と思ってしまうと作れなくなるということです。理由はアノ曲にほぼ同じになってしまいいわゆるパクりっぽくなってしまうからです。なのである程度忘れることも大事だと思います。

知ってなきゃいけないのに知りすぎててはダメというツンデレ作業なのが作家という仕事だと思っています。
そして一般的に人は何を聴いた時新しい音楽だ!と思うかという点もお話しますが、これは「自分が知らないタイプの曲」を聴いた時そう思うんです。
つまり作家にとってはあの曲を意識して作ったけども聴く人が知らなければそれはその人にとって新しい音楽になるんですね。

こう言ってしまうとなんだか夢のない話に聞こえますが、そうではなくて、音楽作家はいろんな音楽を聴いているので、いろんな音楽が混ざって作られています。それは例えばアメリカ人と日本人が結婚し子供を産んだらハーフの子が生まれてクラスメイトにいたら目立つのと同じです。
様々な文化が混ざり合って新しいものを生み出している。
でもハーフの子からしてみれば日本語も英語もあたりまえでありふれていて普通で、もしかしたらつまらないと感じるものだと思います。

しかしそれは別の人からしたら新しいものなんだってこと。だからたくさんの音楽を聴いて知っていることは大事だと思います。

ちなみに歌というのはとても個性が出るものだと思っていて一人一人違う素晴らしいものだと思います。たとえ伴奏が何かに似ていても歌が入ると本当にあたらしい音楽に変わる。僕はここは大事にしてます。
さっきのハーフの子が、、、お笑い芸人になった、、みたいな話??例えが分かりづらいか。笑

2. 音楽理論を知っているかどうか

 これはあくまで基礎がわかってるかどうかってことですが、例えば「16分音符って何、、?」っていう人が16分が複雑に絡み合うセクションを作るのはとても時間がかかると思います。時間は金成ですから、1フレーズ作るのに何ヶ月も費やしていては大変なことですし、おそらく周りの人間は音楽を製作してたことすら忘れてると思います。
あとは1度、3度、5度、7度、9度、11度、13度 などの組み合わせは気持ちい音だと先人の音楽作家たちが教えてくれてるのですから、そこをないがしろにしていては、気持ちのいい音楽が作れるかどうかは運次第になってしまいます。
分かりやすい例として、お笑い芸人のダウンタウンというユニットのボケ担当の松本人志さんが言っていた言葉を参照しますと、

「お笑い芸人はとても常識人だ、笑いというのは常識すぎると笑えないし、常識から遠くに逸脱しすぎても一般人はよく分からなくなる、だから僕らプロの芸人は、どこからが非常識なのかのボーダーラインが分かっていて、そこをちょっと超えたあたりを狙って話すんです、そうすることによって笑いが生まれる。常識人じゃなければこう言ったことは狙ってはできない」

と言うことです。音楽も同じようなことが言えると思っています。
どこまでが音楽理論上、常識なのか、が分かっている上で少しずらすポイントを作ることで緊張と緩和が生まれてかっこいい音楽になる。音楽理論をまったく知らないでこのロジカルともとれる部分を作るのは、やはり運次第になってしまいます。僕はできれば知っていた方が良いと考えています。

3. 感情を知ってるかどうか

 僕は他の日本人ミュージシャンに比べたらここに長けた作家だと思っています。プロの世界には結構たくさんいますけどね。

音楽を作る上で感情をたくさん知っていなければ熱がそこに加わらないと思ってます。しかも知ってるだけでなく体験していた方が良いと思います。
知ってることを体験して初めて人は理解する。
英語では理解は Understand ですね。この語源は、「Under(下に) stand(立つ)」下の身分になってみて初めて下の世界を理解するんだということらしいです。どういう経緯でこの言葉が生まれたのか知りませんが素晴らしい語源だと思います。
・怒り
・嬉しい
・悲しい
・喜び
などの感情をたくさん知っている人が作る音楽は理論を超えて素晴らしものになることがあります。人間の感情は宝だと思っています。
深い悲しみを知ってる人が作る悲しみの曲は、悲しい思いをした全ての人間の心に、言葉の壁さえ超えて届くものだと思います。


1~3 の合計がある一定のラインを超えた時、素晴らしい音楽が生まれます。一個だけが異常なほど突出してても同じことが言えます。自分のフィールドはどこなのか、を考えるのも良いと思います。






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