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美しく散る

今朝は、シチズンにとってどんよりとした夜明けになりました。
勝敗を決する以上、どちらかがこの苦味を味わわなければいけないという残酷な理。150分もの激闘を繰り広げたプレイヤーの心情は推し量ることすら憚られます。味気ないスコア表の数字にさえもその熾烈さが滲み出る激闘に、いちファンとして賛美の想いを湛える他ありません。
素人がその道のプロフェッショナルを差し置いて批評を述べるのはリスペクトに欠けますから、興味のある方はぜひ、「CL準々決勝 マンチェスター・シティ 対 レアル・マドリード」をご覧ください。

昨年末にはユニフォームも買いました。大好きなプレイヤーです



スポーツはドラマになり得る、ライヴ放送の試合を観ていると特にそう感じます。次の瞬間に何が起こるのかまだ誰も知らない…そんな緊迫感の中で、時には喜劇が、はたまた悲劇が生まれ、涙を流しながら抱き合う人、咆哮を上げながら踊り狂う人、頭を抱えて項垂れる人…勝敗の如何を問わず、人々にここまで感情を剥き出しにさせるとは。これほどのエネルギーが生み出される試合の本質は、既に単なる数字で表される結果を超越していると感じざるを得ません。

これこそドラマ。

いま目の前で紡がれる物語。

その大きなエネルギーに触れるたび、何事もハッピーエンドだから爽快とは限らないし、バッドエンドが不恰好だとも言えないと思うのです。
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ところで、フットボールの観戦に睡眠時間を削ることができるのも、一つ大きなコンサートが終わったからです。

先週金曜の夜に浜離宮朝日ホールで開催された『四月は君の嘘』コンサート。お越し頂いた皆様ありがとうございました。満席の浜離宮、思ったよりも客席からの圧は少なく(笑)、初出しの曲も多い中で素晴らしい響きを楽しませて頂きました。

当日使用した木目調のスタインウェイは選ぶ演奏者が少ないらしく、お客様でも写真を撮って帰られる方が多かったのは印象的でした。1959年製、ヨーロッパのピアノらしい個性のある音が気に入り、選んでみました。

1959年製スタインウェイ。終演後のワンショット



勿論ソリストとしてピアノに向かうのは演奏の自由度も高く愉しいことなのですが、アンサンブルの魅力というのもまた奥深いものがあります。元来チームワークというものが好きな性格で、メンバー全員を束ねて前に進む仕事は昔からよく取り組んでいました。リーダーを押し付けられているうちにこの性格になったのか、生まれながらの性質なのかは解りかねますが…
ただ、アンサンブルは「引っ張ってやろう」などという考えでは上手くいかないものです。時々そういう場面もあれど、基本は皆が対等なものですから。これは中学に入って室内楽をやり始めた時分に、何度も先輩方の愛の鞭に受たれて得た教えでもあります。笑

今回初共演となった高松亜衣さんと。漫画から飛び出してきたよう


特にデュオは一対一の緊密な関係。エゴを出すのはほどほどに。とにかくまずは相手を知ること、だと思っています。例えばリハーサルの空き時間だったり、音楽に関係ない話をする時間って意外とあるんですよね。笑いのツボがわかってくる頃には、自然と綺麗な和音が出せるようになったりします。冗談のようで、本当です。
音楽を複数人で演奏すれば、言葉の代わりに音を使った会話のようなものですから、掛け合いのリズムや呼吸感って大事なのです。これは音楽に限った話ではないかもしれません。フットボールを観戦する時も、音の代わりにボールを使っているんだなぁと思って眺める時があります。人に得意不得意があるのは当然のこと、コミュニケーションの道具も様々ということですね。僕にとってのサッカーボールは、習得できない難解な言語でしたが。残念。


有難いことに、『四月は君の嘘』コンサートは追加公演が決定しました。7月には大阪、9月には東京と福岡で原画を投影しながらの映像付き演奏会も開催します。

7/27(土) 大阪 住友生命いずみホール
9/1(日)・2(月) [3公演] 東京 アイマショウ
9/16(月) [2公演] 福岡 キャナルシティ劇場


曲順を含めて物語に沿ったプログラムなので、映像付き公演は原作ファンの方々により楽しんで頂ける内容になると思います。
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アニメを観ていて、光の中で主人公たちがショパンのバラードを演奏するシーンは印象的でした。
四月の桜は美しく散りゆく…最後には前を向いて歩いて行く主人公たちの背中を見て、皆さんは何を感じますか?

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