【エッセイ】アタシが物乞いにでも見えたのか

何で皆が喜んでいられるのか、
アタシには理解出来なかった。

日雇いバイトの先で
運ぶ筈だった荷物が届かなくてさ、

アタシ達は、何時間もただ
草っ原の上で座ってるだけだった。

何だコレと思いながら、
何をするでもなく。

あまりにも長い時間、
何一つ始まらないもんだからさ、

たまりかねてアタシ、
客先の人に聞いたんだ。

何か今、出来る事ありますかって。
今の時間に何かお手伝いしますって。

…何にも無いって言うんだ。

良いから適当に待ってろって。

面倒臭そうに、イラつきながら。

何でこんな状況に
なったかなんて知らない。

誰かのミスなのか。

トラブルなのか。

説明もしないし、
ただ「待ってろ」って
言われてただけだった。

結局、昼頃になった時に
もう帰って良いなんて言い出した。

まるで働いてなんていなかったけど、
会社に終了の連絡したんだ。

予定の7割分、給料出るから。
帰って良いですよ。

だって。

バカなんじゃないのかと思った。

無駄金払って
ミスってる客先も大概だけど…

当たり現場だったね、

ラッキーだったねなんて
浮かれてられる、
おんなじバイトの人たちも。

見てなかったのかな。

どんな目であの人らが
アタシ達の事見送ってたか。

苦々しそうにさ、
泥棒入られたみたいな顔してさ。

お金は無いよ。
無いからバイトしてんだし、

お金貰いたいから
仕事に行ったんだから。

仕事する気で行ってたよ。
当たり前じゃん。

物乞いじゃないよアタシは。

あんな顔される様な
後ろめたいことなんて
アタシはしてないよ。

何で皆が喜べるのか
アタシには全然分かんない。

あんな顔されながら
貰うお金でさ。

ごめんね。

なんか、悔しすぎてさ。

アタシ、
アタシだけが、

難しく考えすぎてんのかな。

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