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葉っぱの執念


檜になりたいと願った
葉っぱが居た。



遠巻きに檜を眺めながら、
自分もそう成れると信じ込んだ。



春ただ励み


夏に葉を大きく育て、



秋には赤い情熱に体を染めあげたものの


冬のある日に、強い風が吹いた。


願いのあるものも
そうでない者も

等しく煽る無情の風が。


葉っぱはめげない。


風なんかを恨みはしない。

時間だって恨んだりしない。


成るのだから。別にいい。

何があろうと、明日には。



ハラリと落ちた地面の上で

雨や夜露に濡れながら、

別の葉っぱに埋もれながらも



葉っぱはまだ諦めない。



だからどうした。

関係ない。


明日はなる、
檜になってやる。



諦めるとでも思ったか。




翌檜(アスナロ)


葉っぱの名前だ。

人から、そう呼ばれている。



来年も宜しくお願い致します。

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