見出し画像

新年早々、新幹線で財布を落とした話

 noteで似た話をみかけたので、記憶が新しいうちに私の懺悔をしておこうと思った。さて、こういうところで忘れかけているのが、私の良いところであり、またミスを繰り返してしまうバカなところだが、忘れてないと、自分の人生をやってられないくらい私は凡ミスが多い人間だ。

懺悔のきっかけ

 さて「思い出す」きっかけとなったこちらのnote。通勤の途中、あわてて降りるときにiPhoneを落とし、どんどんと遠くなるiPhoneを見ながら仕事に追われ、そして思いの外あっさりと携帯の中身が移行できてしまったことの便利さと無常観(勝手に解釈してごめん)が書いてある。私とそっくりな経験であり、そしてこのnoteと私の最も伝えたいことはただ一つ。JRの皆様ありがとう。だ。

私の場合

 2日連続の東海道新幹線での日帰り出張ってなシチュエーションの2日目でそれは起こった。「昨日も来たし、もう通勤みたいなもんだべ」と思いながらEX予約の新幹線にピッと乗り込む。最近私は色々忙しい。Non−Profitとして打ち込む企画があり、研究テーマがあり、子どもの学校関連業務や余計なおせっかいなどなど。全く違う文脈のことを色々と考え、動かしながら日々のしごともやっている。そんな私にとって新幹線は抜群の集中時間だ。今日もさっさと乗り込みヘッドフォンで音楽をONにしてWiFiつないでMacを準備、さっ集中。

序章:席の間違い

 ん?私のシートを怪訝に見ている人がいる....やってしまった、また席間違い。だいたい、こういうときに私が正しかったことは200%ない。怪訝に自分の席を見ている人がいれば、それは私が席を間違っている。果たして...今日も間違えてしまった12Eと11E。ごめんなさい...一旦広げた店をしまい、すごすごと後ろの席に。

 性懲りもなく店を広げて集中していて新横浜駅を通過。またまた私を怪訝そうに見ている人がいる。ん???これは13E...失礼しました。私は11Eですまたまた移動だ。電源の関係で必ず窓側をとっているので、通路側の人にも迷惑をかけるし...ホントすまんのだ。席を間違えることは日常茶飯事だが、2回はヤバいぞ...自分のバカさかげんに呆れつつ、さっとまたゾーンに入る。

隣の席の人

 ふと隣を見ると、リクルートスーツ姿?の若い女性が緊張感バリバリで座っていて「やりがい+モチベーション..→」などと紙のノートに一生懸命シャーペンでなんか書いている。だいたい、朝の東海道新幹線指定席はスーツ姿の男性ばかりだ。そして、仕事をしている人はだいたいパソコン広げていてノートにシャーペンはあまりいない。若い女性、しかもスーツ姿はめずらしい。これは、巷で言われる「就活」ってやつだろうか?

 目があったので話しかけてみたら、就活ではなく、今日が初の出張という2年目社員さんでした。スーツこれしか持ってないし、私、修学旅行で行った京都より西に行くの初めてで緊張している...とのこと。新幹線という場でもあるので、当たり障りない会話ながら「働く女性か、そっかガンバ!こちとらは当たり前になりすぎて出張も日常だがってな先輩に、あなたもすぐなりますよ〜」的な話をしてみた。そしてまた作業に戻りゾーンへ。

ゾーンはいいが

 「〇〇でないと集中できない」という人が多いが、私はコンディションや取り組む内容にもよるが結構すぐにゾーンに入ってしまう...ってか過集中してしまうタイプだ。あっという間に時間はすぎる。げ、もう京都だ...降りなくては。(確か数ヶ月前にこれで新大阪までいってしまい、慌てて戻ったのだ)と京都駅で降りて、改札口で気づく。あれ?ケータイしか持ってないよ。財布はどこいった?

自宅から遠い都市で財布がないということ

 ここは京都駅の改札の中である。そして私の財布は広島行きの新幹線でどんどん西に。EX予約というのは、プラスチックカードで改札を出入りする。そのEXカードも、クレジットカードも、現金も、健康保険証も免許も入った財布.....このままでは改札を出ることすらできない。しかも降りてすぐタクシーでランチミーティングに出る予定から始まり、今日は5時半までバッチリ仕事で6時過ぎの新幹線で帰るはずなのだ。うー!!!  ここで気づく。京都で一文無しよ。ってか仕事はいいが、その後東京までどうやって帰るのよ......

それでも予定は予定だ

 ランチは知人2名と気軽な打ち合わせだがその後2つのミーティングはカジュアルなものではない。準備に結構時間もかけてきた。何度も出張はつらいし、できるだけ予定通りにこなしたい。財布がなくなった損失より、今日一日を予定通りに過ごせない損失のほうが大きい、というか大きく感じる。

改札口でパニクる人

 と、とりあえず...助けをもとめようと改札に向かう。改札口でパニクりながら...あの、さっきの広島行きの新幹線のX号車の11Eの席のところに私の財布がですね...などいうと、慣れた口調で駅員さん「ハイ、ケータイの中の予約履歴見せて、ハイハイEX予約番号を今機械に入れますね、はい確認できましたよ。走っている電車の車掌に連絡はとれるのですが、広島行きだったらJR西日本の管轄になってしまうので、下の事務所からですね。まずは改札を出ていいですから下の窓口に行って」と。きっとこんな修羅場をたくさん見ているのだろう。事務的に、でも必要な情報をすべてまとめてわかりやすく伝えてくれる。階段を降りて、言われたとおりに下の窓口で同じ話を告げると、こちらも駅員さん、「はい、JR西日本と走っている途中の電車の車掌に連絡しときましたよ。見つかったら携帯に連絡しますね。管轄違うからちょっとお時間いただきますが、間違いなく連絡しておきますから」と。この間10分ほど。手続きすべてがスムースで効率的だ。

別の脳みそを使い、助けを呼ぶ

 ランチ相手の東京で会う予定もある知人1に「ごめん3万円現金で貸して、あと10分でつく」とテキストしてケータイで払えるタクシーを選んで乗る。幸い京都はこのところだいぶケータイで乗れるタクシーが増えている。観光客向けのこういったタクシーに乗り約束のランチ場所に向かう。タクシーの中でどこで落としたか考える。どう考えても間違えて乗った11番12番、13番のEの席の移動のところどれかだろう。ああ、隣の席のお姉さん、見つけてくれてないかな......祈る。ってところで、降りる間際、JRさんから「見つかりましたよ、新神戸駅で降りたお客様から届いてます」と。嬉しい...しかし新神戸駅に取りに行くor 後で着払いで送ってもらうの2択だ。今日、仕事が終わってから新神戸周りで取りに行ってから帰る=子どもが寝る前に帰れない...財布を送ってもらったときと今日取りに行く場合のシミュレーション、走馬灯のように考えがめぐる...。とりあえず取りにいける前提で取り置きをお願いした。

意外な展開

 結局、ランチの席で知人1が3万円を用意してくれていて、知人2が「僕、いつもお世話になっているし、お子さんが寝る前に家に帰れないとかわいそうだから、この後時間あるから新神戸に取りに行ってあげる」と神のようなお申し出をいただいた。新神戸駅に代理の人が取りに行く旨電話し、その際に申し出る番号を頂き連絡。3個のアポの間は借りたお金で現金で移動。3つ目が終了の5時半に彼が取りに行ってきてくれ、戻ってきた財布と一緒に、予定通り6時11分京都発の新幹線で帰ってきた。

謝辞

 隣の席の2年目女子、財布を届けてくれてありがとう。出張になれるのはいいが、私みたいになってはいかん。そしてJR京都駅の改札の方、忘れ物係の方、JR新神戸駅の忘れ物係の方、ありがとうございます。毎日おつかれさまです。ランチをした知人1知人2ありがとう、なんかで返す。すべての方々への心からの感謝も忘れっぽい性格で忘れないように、今書いたぞ。あと、少し負荷を下げたほうがいいかなという自分に対する警告はうっておいた。

2020年の日本

 海外では、こんなに財布が見つかることもないし、鉄道や飛行機会社などが忘れ物に対して「取扱手数料」を徴収する場合も多い。この1日JRの皆様が私の忘れ物にしてくださったこと、全てが無料のサービスであり、迅速丁寧正確な取り扱い、世界最高品質だと思う。落とした財布がそのまま出てくること、またこういったことを今後も無料で提供し続けられる豊かさが日本にあり続けるのかはわからないが、2020年の日本でのかげがえのない素晴らしい体験だ。一応、将来すっごく先に私の子どもたちがこのnoteを読むかもしれない、だから書いておく。母ちゃんが出張が多くても子育てと両立できているのは、交通機関の皆様のおかげです。そして予定通りに帰ってきたことを含め、2020年の日本は結構よいところです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?