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建物賃貸借契約のトラブル(退去してくれない)

今回は、建物賃貸借契約のトラブルについて以前相談を受けたある事例を参考にして説明します。

相談者のAさんは、ご自身が所有する一戸建て住宅を数年前にBさんに貸しました。
AさんとBさんは、賃貸借契約をきちんと書面で取り交わしました。
当職は、この契約の書類作成に関わりました。
契約開始から数年後に借主であるBさんが契約書の内容について違反があった為、お互いに話し合った結果、Bさんがとある日付を期限と定めて退去することで合意しました。
当職は、この合意の成立に関わり、退去に関する書面に作成に協力しました。

そしてその合意で定められた退去の日付となりました。
しかし借主のBさんは退去しませんでした。
そのことで貸主のAさんから相談を受けました。
Aさんによると、退去していないことについてBさんからは何も連絡がないそうです。
その為、何か退去が遅れざるを得ないような事情があってのことなのか、単に居座っているだけなのかが分からない、とのことでした。

引っ越し

貸主Aさんは、借主Bさんが契約違反をし、退去の日付も守らず、それについての何らの説明もないことに大変ご立腹でした。

私は先ずAさんに落ち着いた対応をしなければならない、と伝えました。
また、物理的に退去を強制させるような行動を取らないように、とも伝えました。

その後、Aさんには具体的な行動として、以下のことを伝えました。
(1)先ずはBさんと連絡を取る。訪問でも電話でもどちらでもよい。
訪問でも電話でも、話をすることができたら感情を抑えて冷静に対応する。
また、いつ、誰とどんな内容の話をしたかについてメモを残しておく。
もしその場で何らかの合意が出来れば、それをすぐに書面にしてBさんの署名と捺印を取る。
連絡を取る時間帯にも注意する。夜中や早朝は避ける。

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(2)訪問や電話で連絡が取れない場合は、手紙を送る。この段階では普通郵便でよい。
手紙を書いて、直接Bさんのポストに入れても良い。
ただし、手紙をドアや窓ガラスに貼り付けたりすることはしない。
1回で反応がなくても、もう1、2度は通常の手紙で対応する。

(3)手紙にも何も反応がない場合は、内容証明郵便を利用する。
内容証明郵便についての説明はまた別の機会とさせていただきます。
内容については、基本的には手紙ですのでどんな内容にするかについて決まりはありません。
ただし、(1)から(2)の流れで手紙を書く訳ですから
1・やってほしいこと
2・上記1に対する期限
3・上記2の期限内に、上記1で求めたことをしなかった場合、どのようなことをしようとしているか
少なくとも以上の3つについて書いた方が良い。

手紙①

(4)ここまでやったにも関わらずBさんから何も反応が得られない場合、Aさんが出来ることはここまでではないかと思います。

以上のことを伝えました。

尚、これ以上のことを行うには、裁判所の利用を検討しなければなりません。
その場合、弁護士に相談されることをお勧めする、とも伝えました。

住まいとしての建物賃貸借契約は、トラブルになると解決が難しくなります。
そうならない為にも契約時の審査や、入居後の管理をしっかり行わなければなりません。
以上です。

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