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行政書士と職務上請求①

このnoteをご覧の皆様は、市役所に行って自分の住民票や戸籍を請求して取得したことがあると思います。
また、委任状を書いてもらって家族の分を取得したことがある方もいると思います。
通常住民票や戸籍は、本人や本人から委任を受けた人しか請求することができません。

しかし、行政書士を含む士業には仕事(職務)上で必要な場合は、住民票や戸籍を本人の同意なしで請求し、取得することができる権限があります。

今回から、行政書士の「職務上請求」について説明します。

ここまでを読んで、行政書士が個人情報である住民票や戸籍を勝手に覗いているのではないかと不安になった方もいるかもしれません。

当然ですがそんなことはありません。
本人の同意なしで住民票や戸籍を取得することができる権限の行使にはルールがあります。
あくまでも「職務上」必要な場合に限られています。

「職務上」必要な場合とは、どんな場合でしょうか。
そして「職務上」必要な場合にならないのは、どんな時でしょうか。

事例を参考に、請求できる場合と出来ない場合について説明します。

戸籍①

事例①相続
親が亡くなり相続が発生した相談者から、相続人が誰かを調べて「相続関係説明図」という書類を作成することを依頼されました。
相談者の親は離婚歴があり、前配偶者との間にも子がいると聞いているのですが、相談者は一度も会ったことがないとのことでした。
前配偶者との間に子がいる場合は、その子も相続人になります。
相談者は相続人です。
「相続人の中の1人」から依頼されただけですが、この場合は相談者を含めて他の相続人の戸籍や住民票を請求することができます。
行政書士は相談者からの依頼に基づいて、集めた戸籍や住民票から「相続関係説明図」という書類を作成します。

事例②不動産
とある土地を購入したい不動産屋さんが、法務局でのその土地の所有者を調べました。
そして、土地の不動産登記簿に記載された住所に「土地を買いたい」という内容で手紙を送ったのですが、そこの住所に所有者はいませんでした。
その不動産屋さんから「所有者の住所を追跡することができないか」という相談を受けました。
残念ながらこの場合は所有者の戸籍や住民票を請求することができません。
不動産屋さんは単に「土地を売ってくれないか」という交渉をしたいだけで、所有者に対して何らかの権利を持っている訳ではないからです。

次回に続きます。

つづく


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