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1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 1-6 情報の経済学② (第1部 第6章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:情報の経済学②「エージェンシー理論」

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P114~P132 ✄

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前章で触れた アドバース・セレクション(adverse selection:逆淘汰・逆選択)とは、取引を行うまでに生じる問題である。一方で、取引が成立した後に組織で生じる問題を説明するのが「エージェンシー理論」である。

仮に保険会社がアドバース・セレクションを乗り越えて、Aさんに保険を購入して貰った場合に、Aさんが保険に入った後は「以前ほど注意深く行動しなくてもいい」と考えるインセンティブ(動機づけ)が出てくる。これをエージェンシー問題 (モラルハザード問題)といい、このモラルハザードのメカニズムとその対処法を考えるのが、エージェンシー理論の主目的である。

同理論はプリンシパル=エージェント理論とも呼ばれ、多くのビジネス行為は、"経済主体 (プリンシパル) が特定行為を代理人 (エージェント) に依頼して、代わりに行動してもらっている" と捉えられる。企業としては、プリンシパル=エージェント関係の固まりである。

モラルハザードが高まる条件は2つある。1つ目はプリンシパルとエージェントの間の「目的の不一致」であり、これは、両者の目指すところ・利害関係の乖離を指す。2つ目は「情報の非対称性」である。この2つが高まると、エージェントがプリンシパルにとって不利益な行動を取りがちになる。

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「目的の不一致」ならびに「情報の非対称性」に対する解消法としては、大きく以下の2点が挙げられる。

■モニタリングによる解消法
その名のごとくプリンシパルがエージェントを監視(モニター)する仕組みを組織に取り入れて、「情報の非対称性」の解消を目指すものである。

■インセンティブによる解消法
プリンシパル=エージェント間の「目的の不一致」の解消を目指すのがインセンティブである。インセンティブとは「ある条件下で、プレーヤーが持つ特定行動への動機づけ」「やる気を起こさせるもの」であり、エージェントにプリンシパルと同じ目的を達成する組織デザイン・ルールを与えることである。

しかし、エージェンシー問題の解消法は万能ではなく、その一様な導入は難しく、副作用をもたらしかねないという主張も提示されている。

例えば、モニタリングにもコストと時間を要する。また、実績連動型のインセンティブを与えられた人ほど全般的に作業生産性が高まるが、人がリスク回避的なほど逆作用することを明らかにしている。

2.本章に対する振り返り

「アドバース・セレクション」「モラルハザード問題」について、職場におけるマネジメントの観点で捉えると、「仕事を渡す前の状態」「仕事を渡した後の状態」に対する言及であると捉えることも出来るかもしれない。その中で、「アドバース・セレクション」は判断を行うマネジャー側の留意で解消できる余地もある様にも思う。

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一方で、「モラルハザード問題」は日々の仕事の質を担保する上で、目を背けることが出来ない問題である様に考える。この問題を回避していくためには、大きく要因となる『目的の不一致』と『情報の非対称性』を解消していく必要があるが、日々限られた時間の中で "お互いの意識付け" のみでは解消し切れない状況となることも多い。

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強いチームを作っていく中においては、チームの置かれている状況・独自性を踏まえながら、「如何に『目的の不一致』と『情報の非対称性』を解消する仕組みをチームマネジメントに落とし込んでいけるか?」がポイントになる様に感じる。複雑な問題であるが、一筋縄にはいかないことを理解しつつ、1つずつノウハウを積み上げていく。

【参考資料】


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「知恵はかい出さんとあかん、井戸から水を汲み上げる様に」を大事にしながら、日々のマネジメントに対する振り返りをツイートしています👇



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