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「図書館近居」のすすめ

我が家から最寄りの市立図書館までは徒歩一分。
小さい子どもを連れて行くのにも抵抗がなく、雪の日も風の日も、思い立ったらすぐ行ける。
これは、とても便利でありがたいことだ。
私は、「図書館近居」の価値がもっと世の中に広がればいいと思っている。

図書館はブックシェアリング

20~30代の「ミレニアル世代」を中心にモノの所有から利用へと関心が移っている。
いわゆる「シェア」が見直されて久しい。
使用頻度が低いモノ、著しく高価なモノ、所有して邪魔になるモノは、私も所有に抵抗を感じるようになった。
人の成長に読書の効用は欠かせないことは分かっていても、無尽蔵に本を買うことはできない。
そんな金もないし、置く場所もない。膨大な書籍を個人で持っていても使いこなせない。
そこで、公共図書館に目を向けてみたい。
公共図書館が、住民を単に喜ばせるための無料貸本サービス、子供と年寄りだけのための暇つぶし施設としか思われていないとしたら、もったいない。
わざわざ公費を投じて図書館が整備されるのは、住民生活の自立や質の向上に有用だからだろう。
公共図書館の蔵書は、いわば住民の共有財産。市民が蔵書をシェア(ブックシェアリング)しているという見方ができないだろうか。
そう考えれば、住民はシェアの当事者。公共図書館を使い倒さない手はないだろう。

本とのマッチングの場

本との出合いの場は、広告、口コミ、書店のフェアだったりさまざまある。
私は、新聞の書評で興味深い図書に出合うことが多い。が、これらで取り上げられるのは、主に新刊だ。
出版ビジネスの世界で、既刊本が掘り起こされることは少ない。
しかし、世の中の本のほぼ全ては既刊本だ。当然、良書はそのなかにこそたくさんあるはずだ。
図書館の催事には、森羅万象、古今東西の本の中から、司書などの専門知識のフィルタを介して厳選されたものが並ぶ。
そこに新刊既刊の別はない。図書館は良書に出合えるいい機会を提供してくれる。
特に地域の資料などは、その地域の図書館が一番である。

知へのアクセスポイント

図書館のサービスの一つに、「レファレンス」というものがある。
司書に問い合わせて、図書館の資料を使って探したい情報の入手を手伝ってくれるサービスだ。
ネットで調べるとか、事典に当たる程度の調査と、レファレンスを活用した調査を比べれば、結果には雲泥の差がある。
これを無料で請け負ってくれる公共図書館は、学術研究者だけでなく、ビジネスパーソンにとっても心強いものだ。
ただ、レファレンスの質は、司書との相性もかかわることで、図書館によっていろいろだろう。
仮にそこまで期待できない図書館だったとしても、図書館には「相互貸借」という仕組みがある。
読みたい本がその図書館に所蔵されていない場合であっても、連携している他の図書館から取り寄せてくれるのが相互貸借である。
家の最寄りの市立図書館は、市内の分館や県立図書館との間で相互貸借を行っている。
たとえ小さな図書館であっても、レファレンスや相互貸借のサービスを駆使すれば、そこが知へのアクセスポイントとなる。

「図書館近居」はいいもの

東京・千代田区の区立千代田図書館は「あなたのセカンドオフィスに。もうひとつの書斎に」を合言葉にビジネス支援に力を入れているそうだ。
セカンドオフィスや、第二の書斎になる可能性を秘めている図書館。
そんな図書館の近くに住む暮らしは、いいものである。
図書館との向き合い方次第で、図書館近居の価値は、無限大に広がる。

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