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‥大丈夫ですか?

私が二十代前半に友達とその彼氏数人でキャンプに行った時の話。

場所は伏せます。大きな湖を臨むとあるキャンプ場とだけ記しておく。見出し画像の写真とは別の場所です。

私の友達、仮に「アサミ」としておきます。その彼氏も仮に「トモヤ」さんと呼びます。

アサミの彼氏、トモヤさんはアウトドア好きで、給料の殆どをキャンプ道具に注ぎ込む人でした。

トモヤさんの提案で私とアサミ、その他数人でとある湖の辺りにあるキャンプ場へ行った時の事。

季節は9月の上旬だったと思う。まだまだ夏の名残もある暑い日だった。

キャンプ場に着き、一通りアウトドアらしい事をして楽しみ、トモヤさんの提案でテントは一人一張りでソロキャンプ気分を出そうと言う事になっていた。トモヤさんは沢山一人用テントを持っている人だったので。

やがて日が暮れ、焚き火を囲みながら皆でお酒を飲みBBQを食べながら談笑していました。

夜も更けて10時ぐらいだったかな、雨がポツリポツリと降り出しました。皆慌てて後片付けをして、それぞれのテントに戻りました。

私も自分のテントに戻り、眠る準備をしていました。どんどん雨の勢いは強くなっていく。昼間の疲れもあってか、11時頃にはウトウトとしてきました。

そんな中、女性の話し声が聞こえてきました。誰かと話しているような声。何を言っているか聞き取れなかったけど、雰囲気から察するに、ノロケ話の様。私は誰か携帯で話しているのだとばかり思っていました。

そんな事をぼんやりと考えながら、眠りにつこうとしていると、私のテントの周りに近づいてくる足音が。ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。足音はテントの周りをゆっくりと歩いています。

足音と歩く感じ、歩幅は男性の様でした。その足音の主が急に、「‥大丈夫ですか?」と私へテント越しに話しかけてきた。

私もそんなに深く考えず、「あ、はい。大丈夫です。」と答える。すると声の主は、私のテントから遠ざかって行きました。

何だったんだろ?と思いながら再度眠ろうとしていると、又足音が。ザッ、ザッ、ザッ、ザッと近づいて来る。

さっきと同じ様に男性の声で、「‥大丈夫ですか?」と聞いて来る。私も「あー、大丈夫ですよー。」と答えた。テントの外は相変わらず強い雨が降り、女性の声でノロケ話が聞こえていた。

気づくといつの間にか寝ていたみたいで、朝になってた。雨はすっかり上がって、良い天気だった。

皆で朝食の準備をしながら、私は何となく皆に聞いてみた。昨日の晩、長電話してた人いる?って。‥皆は口々に誰も電話なんてしてないって。
雨の音が大きくて会話になんてならないでしょ?
アサミもカヲル〜!寝ぼけてたんでしょ!と突っ込んでくる。う〜ん私、寝ぼけてたのかな?と思いながら

トモヤさん、このキャンプ場って夜間見回りする管理人さんいるの?って聞いてみた。

トモヤさんは、あー、このキャンプ場は時間になると管理人さんは帰るよ。緊急連絡先は教えて行くけどね、だから夜間はキャンパーだけだよ。だって。

カヲルちゃん、どうかした?とトモヤさんが聞いてきたけど、私はううん、何でもないよちょっと気になっただけだから、と誤魔化した。

確かに強い雨音の中、女性の声や男性の声なんてハッキリ聞こえるわけない。私はいったい誰と話をしたのだろう?いったい誰のノロケ話を聞いていたのだろう?

‥それ以外は普通のキャンプでした。

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