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風俗店員物語vol4

前回の記事⬇︎
https://note.com/kawayanmath/n/n7c222c8ddc46

※投げ銭制度付けました。記事は全て無料で読めます。※

前回の田中闘牛事件以降、俺は清掃そして客への対応を覚えホール業務に関しては普通にこなせるようになった。
清掃に関しても1日平均1000円以上獲得し、日払いをせずに済んでいた。ちなみにこの期間も田中が清掃で金を獲得したことは一度もない。店に陰毛をばら撒くモンスターと化していた。

そしてある程度ホール業務に慣れてきた俺に次の仕事を覚える時が来た。

それは「送り」である。
※送り…営業終了後、電車などがない女の子を車で送迎すること

前置きが長くなり、申し訳ない。
では本編へ。

ドキドキ!?女の子送り編

風俗業界には江戸時代ばりの身分制度があり、この店も例外ではない。
この身分制度を紹介しておこう。

仕事の出来ないスタッフ<仕事の出来るスタッフ<主任=キャスト(女の子)<店長<<<<<<<社長

といった感じである。仕事の出来ないスタッフはまさに奴隷である。逆に仕事の出来るスタッフはキャストからも可愛がられ店からも重宝される。

ただ、キャストの地位は高く普段威張り散らかしている主任クラスでもキャストと立場は対等なのだ。
何故なら女の子がいないとこの商売は成り立たないからである。キャストからの訳のわからないワガママも断ることは出来ない。

俺の働いていた短い期間だけでも

おにぎり買ってきて。
パン買ってきて。
目薬買ってきて。
ロキソニン買ってきて。
昆虫図鑑買ってきて。
ライブのチケット買ってきて。
背中かいて。

などなど。

パシられ方が異常であるがそれもスタッフの仕事の1つであり、キャストの機嫌を損ねてはならない。キャストからの機嫌を損ねたり、ミスをしたりするとたちまち主任クラス以上にチクられる。

またチクられた瞬間に次の日オープンからの勤務が決定する。キャストはスタッフに嫌がらせをしようと思えば無限に嫌がらせすることが可能だ。女の子に嫌われた瞬間にThe Endである。

キャストは店長、主任以外のスタッフからすると逆らえない存在である。江戸時代なら我々はえた、ひにん、キャストは武士といったところか。


そんな風俗業界のヒエラルキーを学びながら、勤務開始から2週間ほど経ち、俺は順調に仕事を覚えていった。

ある日、俺にに営業時間終了10分前に松井からラインが来た。

松井「今日送り頼むね。」


俺はすぐに電話した。

俺「意味がわからないんですけど」

松井「俺くん、免許あるでしょ?今日送りの方面が多いから頼むよ。ちなみに送り1回で1000円貰えるよ。もちろん女の子からクレームなければだけど。クレームがあった場合は3000円給料から引かれるよ」

俺「…わかりました。」
1回1000円の魅力は凄まじい。俺は引き受けた。例の如く、罰金と賞金があるがこの店は主任以下は雑務をきちんとこなすと給料が上がる仕組みなのだ。ここは理にかなっていると思う。


ここで携帯が鳴った。社長からだ。

社長「おぉ‼︎久々やな‼︎ちゃんと仕事しとるけ?」

俺「だいぶ慣れました。頑張ってます。どうしたんですか?」

社長「松井から連絡あってな、お前が送りするいうてたから連絡したんや。ええか、女の子に手出したら100万の罰金や。お前からキャストに話しかけんなよ。運転手に徹しとけ。この業界で1番多いのが金持って飛ぶのと女関係や。それさえやらんかったらすぐ主任なれる。」

100万は高すぎるだろと思ったが、この店は高級店であり、かつ人気店なので売り上げも半端ないことは分かっていた。キャストも平気で月100万以上は稼いでいるし、商品に手を出して店に損害を与えたということを考えれば妥当か。

女の子に関しても高級店なだけあって容姿のレベルは高かった。スタッフが手を出してしまうのも理解出来る。

俺「わかりました。主任なれるよう頑張ります。」

こうして俺の送りが始まる。



松井から指示が飛ぶ。

松井「今日の送りはA子ちゃんだよー。社長にも言われたと思うけど運転手だからね。余計なことは喋らないでいいよー。」

A子は容姿はかなり整っている店でも人気上位のキャストだった。しかしそれと同時にA子はこの店のお局と呼ばれるほど機嫌を取るのが難しいキャストの1人だった。
そのため田中、菊池はともにA子の部屋に清掃に行くのを嫌がっていた。当然、A子の部屋の清掃は新人の俺に押し付けられていた。
2人は俺がA子の部屋の清掃に行くたびにA子に怒られないかニヤニヤして見ている。30代の男性が2人揃ってニヤニヤしているのはとても気持ち悪い。

しかし清掃中にA子と話して分かったが、A子は2人が思っているほど機嫌をとるのが難しいキャストでは無かった。単純に話を聞き適当な返答をしておけば何も言われない。彼女は単純におしゃべりなだけだ。

そして何故か俺はA子に気に入られていた。この日の送りもA子が俺を送りに指名したらしい。


なんで俺なんだ、、、
社長に言われた手前、絶対キャストに
変なことは出来ない。
粗相をした瞬間に殺されるだろう。


そう思い、車を取りに行く。店の前に車を止め、A子を呼びに行く。

俺「A子さん、車準備出来ました。帰りましょう。」

A子「今日疲れたから立ちたくない。おぶって〜。」

俺「何いってるんですか笑 早く行きますよ。」

A子「ケチな男だね〜。モテないよ〜」

俺「モテなくていいんで早く行きましょう。」

こうして車に乗り込んだ。

この店では送りにもルールがあり、キャストは絶対に助手席に乗せてはいけない。必ず後部座席に乗せることが決まっている。

理由は昔、主任だった男がキャストを助手席に乗せイチャイチャしていたら交通事故にあったからである。どうしようもない。ちなみにその主任は他店で今スタッフに格下げして働かされている。

こうしてA子の送りがスタートした。
走り始めると同時にA子が喋り始める。

A子「あんたさぁ、新人でしょ?いつも清掃とても綺麗よね。あの2人より断然マシだわ。」

俺「アリガトウゴザイマス。」
社長と松井に言われた通り、俺は運転手に努めるべく、最低限の返答しかしないと決めていた。

A子「なんか素っ気なくな〜い?」

俺「イエ ソンナコトナイデスヨ。」
俺が会話を終わらそうとする意図を無視してA子は話始めた。

A子「俺くん、今から私が質問するから答えてね。ずっと聞きたかったことがあるの。」

俺「…」

A子「1!まずなんでウチの店に来たのか!
2!どこ出身なのか!3!今彼女はいるのか!4いつ休みなのか!」

全てに答えたくない。俺は心底そう思った。


社長から

もし女に気がありそうなら送り終わったら俺のケータイにワンコールかけろ


と言われていたので勘違いかもしれないが送りが終われば必ずワンコール入れようと思った。


俺「A子さんさっきの質問、答えたくないのは答えなくても大丈夫ですか?」

A子「ん〜。1つだけなら答えなくてといいよ!」

俺「わかりました。1、社長に拾われたからです。2は内緒です。3、彼女はいません。4、月曜です。」

A子「ふーん、なるほどなるほど♪じゃ、来週の月曜日買い物付き合ってよ。スーツ買ってあげる!」

俺「無理ですよ。社長に殺されます。お気持ちだけで結構です。」

しかしこの時俺はスーツを持っておらず、スラックスにシャツという格好だった。
社長からも早くスーツ買えとの指示は出ていたのでスーツは喉から手が出るほど欲しかった。

A子「買い物だけなら何も言われないよ〜。大丈夫大丈夫♪100万くらいパーっと使いたいの!ね?いいでしょ?ホストに行くよりは全然安いし!」


俺「どうしても買い物に行きたいならA子さんから1度社長に聞いてみて下さい。」

A子「え〜。。絶対社長はダメって言うよ〜。それはなし〜!」

分かっているなら買い物に誘わないで欲しい。
いちいち気を使って話すので非常に疲れる。運転手も楽ではない。

俺「社長の許可無しには絶対無理ですね^ ^」
俺はそう言った。するとA子はとんでもないことを言い始める。

A子「わかった!じゃあ明日仕事の時にスリーサイズ測ろ!私が月曜までにスーツ買ってきてプレゼントしてあげる!入社祝い!」

どれだけ俺にスーツをあげたいのだ。。
もはや俺にはA子は貢ぎ癖のあるヤバい奴にしか思えなかった。

俺「分かりました。僕の方から1度社長に確認してみます。」

A子「ホントに社長の許可が無いと何も出来ないのね〜笑」

俺「キャストさんが絡むことなので仕方ないです。」

そうこうしているうちに目的地に到着した。

A子「送りありがとう!明日オッケーもらえたか教えて!おやすみ!気をつけて帰ってね!」

俺「オヤスミナサイ」

俺は車に乗りすぐに社長に電話をかけた。

プルルルル…

社長「なんや⁉︎今1時過ぎやぞ⁉︎時間考えて電話せぇボケナス!」

俺「すいません。かくかくしかじかで…」
俺はA子との出来事を話した。

社長「おぉ〜。お前ちゃんと確認の電話する言うてえらいやんけ。大体の奴はA子をそのまま喰うて罰金払ってクビなるんやけどな笑」

俺「笑い事じゃないでしょ。とりあえず僕はどうしたらいいですか?スーツは社長に買えと言われてたんで正直欲しいです。」

社長「ん〜。そやなぁ〜。A子お前のこと好きなんかなぁ?全部断って働く気力失せられても店の売り上げ的に困るしなぁ〜。とりあえずスーツはもろとこか。笑」

俺「わかりました。」

社長「あと〜お前にはもうちょい働き慣れてからやと思っててんけどお前キャスト管理してみるか?とりあえずA子を。店長が今担当やねんけど手焼いてんねん。ちゃんと出来たら昇進も早なるで」

A子の管理か、、ハゲるくらいストレス溜まりそうだな。。でも社長の言うことは全て Yes で答えなければならない。。

俺「分かりました。やります。」


こうして壮絶な送りを経験し、この日の勤務は終わった。


次の日の勤務でスリーサイズを測り、部屋の清掃時にA子に伝えた。

俺「社長からオッケー出ました。スリーサイズこれです。あとスリーピースのスーツが欲しいです。お願いします。」

A子「オッケー出たら急にねだるね〜♪ま、いいけどさ〜♪」


後日、A子からスリーピースのスーツを貰った。恐らくだがかなり値段の張るものだったと思う。有難いがとてもモヤモヤしていた。


この業界は美人な女が言い寄ってきても手を出せず、女絡みのことは全て上司に許可を取らなければならない。勤務中にエロい服装の女を見ても何も出来ない。
飼い殺しもいいところだ。


ちなみにA子は今もキャスト管理しているが俺に好意があるかどうか真偽は未だに不明だ。皆さんの想像にお任せする。


男女の様々な部分を明確にしない。そういった部分でもこの業界はグレーなのかもしれない。


次回 恐怖⁉︎リスト編

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