「ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから」

という映画を見た。
映画はNETFLIXオリジナル制作のもので、RHYMESTERの宇多丸がテレビでおすすめしていた映画である。
宇多丸が薦めるものをこれまで見たこともなく、ラジオなどでの本や映画の批評もやっているのは知っているが、それらを気にしたこともない。
本当に、なんとなくマイリストに入れていて、Wi-Fiのギガが余っていたのでさっきなんとなく再生したのだが久しぶりに筆を執ることとなった。

めちゃくちゃ面白かった。

”人気者の女の子に思いを伝えたい心優しく口下手なアメフト男子のポール。そのポールを手助けすることになった成績優秀で内気なエリー。そんなエリーも彼女に秘かな恋心を抱いていて...。監督・脚本は『素顔の私を見つめて...』のアリス・ウー。”(動画説明文引用)

脚本も映像も演出も最上級に素晴らしかった。もちろん、演者も方々も素晴らしかった。
知的で文学的で芸術的だった。
もうオープニングの映像からたまらない内容となっていて、コマ撮りのような映像から始まるが、そこから魅了されてしまった。
荒くいってしまえばこの映画は青春映画で、成長の物語であった。

まさか自分が高校生の恋愛模様でここまで心が動かされるとは思わなかった。
恋愛が表面に出ているが、登場人物三人の成長譚で、人間の奥にある幹に触れているからこそこれだけ心が動かされたのだと思う。

映画のスタートで、”愛とは”や”完璧な人間”といったものをテーマにしていることがわかるのだが、ストレンジャーという言葉もこの映画の中では要になっているテーマである。

主人公の女の子はLGBTでありアメリカに住む中国人である。
移民でありそういう意味でもストレンジャーで、そのため町や学校になじめず通学途中にはいつも同級生にからかわれている。
まわりはストレンジャーだらけ、片思いをしているが恋に対してもストレンジャー。

主人公にラブレターの代筆を頼むアメフト部員でわかりやすいマッスルヘッドである。
マドンナとの知的レベルを上げるために興味のない本を読んだり芸術や思想の知識を取り入れるなど、純粋でまっすぐな性格。

マドンナは同調圧力に負けてしまいがちな文学や芸術に明るい美人。

主要なメンバーはこの三名の、主人公、アメフト、マドンナである。

何せコメディタッチで描かれているため見やすく、敷居が低いので没入しやすい。
信じられるものって何だろうと思える作品。
内にある信じられるものと、外にある信じられるもの。
信じられるから遠くにあっても大丈夫なもの。

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