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成長できる環境の選び方

5つの職場を経て言語化できた事として、個人が成長できる職場に必要な要素は他人の頭を借りられる環境かどうかが最も大きいと思う。

そもそも職業人としての成長を定義するのは案外難しく、例えばスキルをつけられる職場だと言われたとき、どう具体的にスキルをつけるのか全くイメージが湧かない。
多くの場合、それは「なんとなく会社に所属している人のスキルが高そう」といった結果論に基づいた印象で、見方を変えれば、その裏側で激烈な競争がありスキルをつけられなかった人材が大量に退職していたとしても見えないだけだ。
これはスキルに関わらず、経験・戦闘力・市場価値・希少人脈・経営人材といったあらゆる「ふわっとワード」で同じ。

実際に自分が職場に所属し、どう力をつけるのかといった判断軸に対して解像度が低い。

では新卒の離職率が低く、若手を育てると評される会社ならいいのか?
例えばopenworkの様な職場レビューサイトには20代成長環境といった項目があり、こちらは内情を知っている人材が評価しているのでそれなりに信憑性がありそうだ。

引用:openwork

しかしこれにも盲点があり、そもそも企業にはそれなりに同質化圧力があるので、似たような人材が集まる。
つまり何も教えられなくとも育つ様な人間が集まる環境であれば、ごく自然に成長環境への評価は高くなるのだ。

残念ながら世間の大半の人はそうではなく、ある程度は職場に依存しながら自力をつけていく事が理想だと思うので、より具体的な判断軸があった方がありがたい。


能力をコピーする

様々な職場を経験し比較できたが、人材が大きく育つ環境の一番大きな特徴は、他人が考えたり試行錯誤した時間を借りて、自分がそれを再現できるかだ。
これを、僕は他人の頭を借りる事だと考えている。

ノウハウの意味よりは広い。
ゴールを達成する道筋の一般的なフレームワークにとどまらず、他の方法はなぜダメなのかや、なぜその方法が成否を分けるのかといった本質的な学びも含まれる。

これらはもちろん一人で1から学ぶこともできるが、スピードが全然違う。
そのような苦労を伴う学びを早期に得られる事によって、あらゆる分野で筋のいいアプローチができる確率は高まるし、より高次元の仕事に集中できるようになる。

優れた上司のもとにつくと人が育つ理由もこれ。
結局誰もが最初は何もできず、成功と失敗を繰り返しながら仕事の能力を地道に高めていくため、反省からより多くの学びを得られること、また多くの反省を他人から得られる環境は力になる。

例えば細かい事ではエクセル一つとっても、なぜそのレイアウトなのか、どのようにマクロを組んでいるのか、どの仕事の粒度でエクセルを作ったのかなどに細やかな意図を感じられる場合、それは他人の頭を借りられているということだ。
わざわざ10時間も20時間もエクセル作業せずとも、細かい方法論であったり仕組み化のありかたについて様々な学びを得られる。

そしてそのような職場環境ではより大きい分野、例えば経営観点でも同じように頭を借りられる。
例えば部署分けなどの組織づくり、業界の慣習、収益の立て方など含む高次元の判断を20代のうちから、直接関与せずとも他人の頭を借りて学べる。

まとめると、先人の学びがモジュール化され相互に交換されている職場は、その上に乗せる新しいモジュールを作る段階から個人の学びが始まるので、飛び級できるという意味で人の成長が速いのだと思う。


一つの習慣だけで組織に差が生まれる

これは会社の規模、業界は関係ない。

職場のメンバーが大小問わず常にチャレンジし、何かしらのインサイトを得て、またそれをきちんと解釈し言語化している環境なら人は育つ。
そこでの学びはチームに伝播し、他のメンバーがまた別の学びを持ち寄り、循環する形で全員のレベルが上がる。

一方で、皆が自分の与えられた業務を時間内に終わらせて家に帰る様な職場は、ハイパフォーマーは退屈のあまり退職し、残った人間は会社の純資産(すでに純負債かもしれないが)を食いつぶすだけで人材が育たたない。

前者の働き方は社会勉強であり、後者は職場の宿題だ。
この違いにより、圧倒的に社内の人材の成長率が変わる。

自己の成長のために職場を選ぶのであれば、そのように他人の学びを得られる環境をうまく使い倒すといい。

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