川島ぴーく

ほぼフィクションですが、本心からの言葉で書いてます。よしもとNSC東京27期。

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花火が打ち上がっているのに

今年も打ち上げ花火を見ることなく、夏が終わってしまった。 開催自体がほぼ中止となったのだろう。辛いことだ。といっても、打ち上げ花火にそんなに思い入れもないのだが、空想で「打ち上げ花火見物」のことを書こうと思う。 ​ 涼しげな夕刻に、駅前のKFCの前で待ち合わせた。彼女は浴衣でやってきた。なぜか裸足だった。 「裸足のほうが走るときに速いから」 という、ワンパク男子のような、何の根拠も無い言い訳を聞かされた。彼女にはシンデレラを装い、ガラスの靴を履いてきて欲しかった。

    • あれから

      久しぶりにnoteを開いて、綴ってみる。 ごきげんいかがですか。 僕は前回の記事の「虎」のもとで、2年間ビジネスのいろはを徹底的にたたきこまれ、マーケティングの鬼となり、現在、とある制作会社のCMOとして、とある事業を回しています。 それと並行して、この2年間で付き合っていた女性と結婚し、子どもを授かり、あと3ヶ月でパパになります。 この前まで僕だけの人生だったのに、家族が二人増えることになり、幸せながらも責任感が徐々に芽生えています。また少し寂寞の思いにもかられてい

      • 数か月前、東京板橋で開催された、とある起業セミナーに参加してきた。 登壇していたのは、40代前半の物腰柔らかい女性だった。 挨拶で、女性は自分の名を「虎」と名乗った。 セミナーの序盤はジョークを交えながらの、ご自身の失敗談だったり、経営を行う上での心得などを、ホワイトボードに書きながらお話しして頂いた。 中盤、「虎」が「マインド」について語り出した頃から、会場の熱気はボルテージが上がり始め、前のめりに聴き入る受講生が目に付くようになった。ざっと全体で30名弱の受講生のう

        • 『風呂床に落ちたシャンプーで足裏を洗う』

          シャンプーが残り少なくなってきたので、詰め替えようとしたら、多めに入れすぎて溢れた。 風呂場の床に落ちたシャンプーを頭髪に使うわけにはいかないので、足裏を洗った。こけそうになった。

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          山で遭難したら

          山に登っていると、たまに道を間違えて獣道に入り、プチ遭難してしまうことがある。雪山ならホワイトアウトで前が見えなくなることもある。 そんなときは、一旦ストップして動きを止めなくてはならない。むやみやたらに動くと体力を消耗するし、さらに道に迷う可能性もある。 そして絶対に、下に向かって歩いてはいけない。動いてしまうのであれば「上に向かって歩くこと」できれば頂上。もしくは尾根をめざして登る。これが登山界のルールである。 優先順位をまとめると、道に迷ったら、 ① 動かない

          山で遭難したら

          『 落とし物:楽譜 』

          コンビニのコピー機に楽譜がはさまって忘れ去られていた。 おそらく僕の前にコピー機を使っていた人が忘れていったのだろう。 どんな曲なのか気になり、チラっと楽譜を眺めてみたが、楽譜の読めない僕の頭にメロディーは流れてこなかった。 仕方なく楽譜をレジの店員に預けて、僕は自分のテキストをコピーし始めた。 すると、今まで見た事のない管楽器をたずさえたロン毛のおっさんが自動ドアをくぐり、走り寄ってきて 「この辺に楽譜落ちてませんでしたか?」と訊いてきた。 おっさんは汗だくだった。よ

          『 落とし物:楽譜 』

          米を引いてほしかった

          昨日もらった『1商品だけ3割引き』のクーポン券を握りしめ、ドラッグストアに向かった。 できるだけ高価な商品を選べばお得だなと考え、2,000円弱の米をレジに持っていった。 米の他にアイスや缶チューハイを買っていたので、レジの研修生に『米』をアピールして3割引きクーポンを渡した。 バイト研修生の女のコがバーコードを読み込んでいる間、レジの電子掲示を眺めていると、『米』ではなく100円くらいの『アイスの実ぶどう』を3割引きしていたので、 ちょっとピリッとした口調で「いやい

          米を引いてほしかった

          とめいと

          近くのスーパーに晩飯の買い出しに行った。 自動ドアの前に「濡れた傘はこちらのビニールにお入れ下さい」と書いた箱があり、客たちはその箱の横にぶらさがったビニールをちぎり、ずぶ濡れの傘にかぶせていた。 けれど僕の傘は、折りたたみ傘だ。だからこのビニールは必要ない。折りたたみ傘に対してこのビニールは丈が長すぎるのだ。傘に一瞬かぶせてみたが、一世代前に流行ったルーズソックスを想起させ、あまりに不格好であったので、すぐにビニールをはずした。

          ¥100

          とめいと

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