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ミジンコもなんか言っている

 説明不要の天才芸術家、会田誠氏。

 彼は、無数のサラリーマンの亡骸を積み上げた「灰色の山」や、タイトルそのまま切腹をする女子高生たち「切腹女子高生」など、かなり凡人置いてけぼり感満載な画家だ。

 そして、彼が書くエッセイもまた

「凡人よ、はい! 帰宅!」圧がすごいのである。

 いやまぁ、それでも最後まで読みましたけどね。

 そんな会田誠氏によるエッセイ集『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』の中で唯一共感出来る、というか、ああそれなら私も(逆の立場で)分かりますという箇所があったのでそこを今回はご紹介したい。

靴下は「軍足のみ」と決めている。僕はなぜ万人が「軍足のみ」と決めないのか理解に苦しむ。あれがいいのは、日本全国どこでも同じようなものが常に売っているから、補充がしやすい点にある。洗濯物の中から同じ柄の靴下を探そうと必死になっている妻の姿を見るたびに、脳味噌の容積が少ない動物の行動を観察する科学者の心境になるのは僕だけだろうか?

 いやいやパートナーに対して言い過ぎやろ。

 とは言え、他人の家庭に口出しするのはよろしくない。

 そんなことより私は

「あ、そういう観察者の視線、感じたことあるわ」

 となったのだ。

 それは、聡明で博識な方々との会話に参加させて頂いている時のこと。

 そういう場で十中八九私は頷き専門となっている。

 だが、突然

「わ、わても申したいことがございます」

 と手足をシャカシャカ動かし、空振り三振意味不明な発言をするのである。

 ミジンコ(私)の必死な反応に対し、聡明な方々は「ほう」と微かに驚いた表情を見せる。

「このミジンコ、なにか音を発したぞ」

 とな。

 ミジンコはこれで会話が出来たと大喜びなのである。大満足。

 なにせ大半の人には言葉が届かないからスルーされてばっかの人生だからね!

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