見出し画像

新型コロナワクチンとプリオン病のリスク #2

私の『新型コロナワクチンとプリオン病のリスク』というタイトルの記事について、これに対する指摘をいただきましたので、その回答として記事を書きました。

私の記事では、所謂『マサチューセッツ工科大学(MIT)の総説論文』のことは紹介していませんでした。

Worse Than the Disease? Reviewing Some Possible Unintended Consequences of the mRNA Vaccines Against COVID-19
訳)病気より悪いのか?COVID-19に対するmRNAワクチンの予期せぬ結果の検証(レビュー)。
著者)Stephanie Seneff(MITの研究者)Greg Nigh(自然療法医)

https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23

しかしながら、『総説論文』がどういうものであるかを知れば、特に紹介する必要がないことが分かるかと思います。

総説論文とは、ざっくり言えば「研究のまとめ」です。

総説論文(Review)
総説論文とは、特定の分野やテーマに関する先行研究を集め、体系立ててまとめることで、その分野やテーマの概説や研究動向、展望を示すことを目的とする。
・ そのため新しい事実や成果の発表ではない。分野やテーマ全体の概要を知る事が出来る。

論文の種類について - 北海道大学
https://www.lib.hokudai.ac.jp/uploads/2019/07/3-30_v1.0.pdf

そして、MITの総説論文にまとめられ、mRNAワクチン接種によるプリオン病発症の根拠とされた研究が、私の記事で紹介した『J. Bart Classenの論文』と『Tetzらの論文』です。総説論文に対し、これら2つの論文は『原著論文』と呼ばれます。

A paper published by J. Bart Classen (2021) proposed that the spike protein in the mRNA vaccines could cause prion-like diseases, in part through its ability to bind to many known proteins andinduce their misfolding into potential prions.
訳)J. Bart Classenが発表した論文(2021)では、mRNAワクチン中のスパイクタンパク質は、多くの既知のタンパク質と結合し、それらのミスフォールディングを誘発してプリオン様疾患を引き起こす可能性があることを提唱しています。

https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23/51

According to Tetz and Tetz (2020), the form of the spike protein in SARS-CoV-2 has prion regions that are not present inthe spike proteins for other coronaviruses.
訳)Tetz and Tetz(2020)によると、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の構造には、他のコロナウイルスのスパイクタンパク質には存在しないプリオン領域が存在するとのことです。

https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23/51

したがって、MITの総説論文ではなく、その総説論文にまとめられた原著論文の内容について指摘することが重要であるという前提を理解して欲しいと思います。
MITの研究者らは、原著論文を「紹介しているだけ」です。
真実を書いているから私が指摘できなかったとか、そういう話ではありません。

ただ、MITの総説論文が、J. Bart Classenの論文の内容を正しく紹介していないことは、この機会に知っておいて欲しいと思います。

MITの総説論文では、J. Bart Classenの論文について、「mRNAワクチン中のスパイクタンパク質(the spike protein in the mRNA vaccines)は、多くの既知のタンパク質と結合し、それらのミスフォールディングを誘発してプリオン様疾患を引き起こす可能性があることを提唱しています。」と紹介しています。

A paper published by J. Bart Classen (2021) proposed that the spike protein in the mRNA vaccines could cause prion-like diseases, in part through its ability to bind to many known proteins andinduce their misfolding into potential prions.
訳)J. Bart Classenが発表した論文(2021)では、mRNAワクチン中のスパイクタンパク質は、多くの既知のタンパク質と結合し、それらのミスフォールディングを誘発してプリオン様疾患を引き起こす可能性があることを提唱しています。

https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23/51

しかしながら、J. Bart Classenの論文は、「mRNAワクチン中のスパイクタンパク質の『mRNA』には、「GGUA」や「UGリッチ配列」、「UGタンデムリピート」、「G四重鎖配列」と呼ばれる特殊な配列が存在することから、これにTDP-43タンパク質などの『RNA結合タンパク質』が結合することが、神経変性疾患の発症に繋がるかもしれない。」という内容です。

The current analysis indicates Pfizer's RNA based COVID-19 vaccine contains many of these RNA sequences that have been shown to have high affinity for TDP-43 or FUS and have the potential to induce chronic degenerative neurological diseases.
訳)今回の解析で、ファイザー社のRNAベースCOVID-19ワクチンには、TDP-43やFUSに高い親和性を持ち、慢性的な神経変性疾患を誘発する可能性のあるRNA配列が多く含まれていることが示されました。

https://scivisionpub.com/pdfs/covid19-rna-based-vaccines-and-the-risk-of-prion-disease-1503.pdf
J. Bart Classenの主張する神経変性疾患発症のメカニズム

MITの研究者らは、J. Bart Classenの論文の内容を全く理解していません

繰り返しますが、J. Bart Classenの論文は、スパイクタンパク質とTDP-43タンパク質のタンパク質同士の結合ではなく、スパイクタンパク質の『mRNA』とTDP-43タンパク質の結合の可能性を示唆しています。
ただし、よく調べてみると、スパイクタンパク質のmRNA中にTDP-43タンパク質などとの結合を強く示唆する配列は存在しませんでした

詳細はこちら。↓

J. Bart Classenの論文は「数の数え間違いがある」など他の点でも杜撰でしたが、単なる「研究のまとめ」であるはずのMITの総説論文も杜撰であることが分かっていただけたかと思います。(さらに言えば、MITの総説論文は『査読付き論文』として発表されていることから、査読も杜撰であったことが分かります。)

MITの肩書きで、情報が正しいかどうかを判断しないでください
このコロナ禍で、それはとても危険なことです。

以上。

---
※ この記事は個人の見解であり、所属機関を代表するものではありません。
※ この記事に特定の個人や団体を貶める意図はありません。
※ 文責は、全て翡翠個人にあります。
---

追記)誤った情報を流すMITの研究者らの責任を追及したいところですが、MITの総説論文の最後のページには、全ての責任を回避するための『Legal Disclaimer(法的免責事項)』という項目が記載されています。
このような項目がある論文を、私は初めて見ました。

Legal Disclaimer
… The contributing authors, editors, and persons associated in any capacity with the website and/or with the journal disclaim anyliability or responsibility to any person or entity for any harm, financial loss, physical injury, or other penalty that may stem from any use or application in any context of information, conclusions, research findings, opinions, errors, or any statements found on the website or in the IJVTPR. …
訳)免責事項(責任放棄声明)
寄稿者、編集者、およびウェブサイトやジャーナルの関係者は、ウェブサイトやIJVTPRに掲載された情報、結論、研究結果、意見、誤り、またはいかなる文脈での使用や適用から生じるかもしれない、いかなる損害、金銭的損失、身体的損傷、またはその他の罰についても、いかなる人物や団体に対しても責任や義務を負わないものとする

https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23/51

逆に、論文に記載すべき『Conflict of Interest:COI(利益相反)』の開示は見当たりませんでした。
したがって、MITの研究者らが、どのような企業や営利団体と利害関係を持ち、研究活動をしているかは一切不明です。

臨床医学の領域における総説論文については、とかく多くの医薬品・医療器具に言及する一方、その領域の権威とみなされる研究者ほど、企業とのつながりが多い傾向にあるため、編集者はCOIの存在についてさらに慎重を期す傾向にあります。

利益相反の開示と管理
https://www.amed.go.jp/content/000048634.pdf

これは最早、『論文』とは呼べないでしょう。
COIの開示がない以上、MITの肩書きを利用した「反ワクチンの広告」という可能性は否定できません。(利益相反の事実がないと考えるならば、その旨を「No conflict of interest」と明記すれば良いだけです。)

「J. Bart Classenの論文にはこう書いてある」、「MITの論文にはこう書いてある」、「〇〇の記事にはこう書いてある」、「△△のツイートにはこう書いてある」
演繹的に「正しい」とされてきた前提が崩れても、MITの研究者らは決して責任を取りませんし、MITの総説論文を「正しいもの」として紹介する人たちも責任を取ることはないでしょう。
とても嘆かわしいことだと思います。

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?