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サービス紹介 ③IPランドスケープ その2:「情報感度」

前回「IPランドスケープ」が欧米と日本で異なり「英語」が大きな役割を果たしていると記述しました。しかし、本質的には、「英語圏のほうが情報感度が高い」という点が重要ではないかと思われます。

日本の特許調査を見て感じるのは「ユニークさ」を売りにしていても、一定の「方法論」を重視しているように見えます。

これに対して、Parintek Innovationsをはじめ、外資企業でのIP Landscapingでは、「方法論」からは入っていないのが特徴です。

情報加工は、人工知能やデータツールでほぼ一定の形ができます。しかし、特定の決まった方法論で解決できる問題は、すぐに模倣され、競争力を失う、ということを示しているように思います。

例えば、ある会社のビジネスモデルを分析するのに、有価証券報告書ほかIR資料を用いて、「事業の柱が三つ」、「利益を上げるのは米国市場での完成品販売」、「技術的優位性を担保するのは欧州における加工技術」というけつろんを1ページで表示するということも、IPランドスケープの結果です。

特許出願の時系列マップ、新規参入者のマップ、数値解析だけがIPランドスケープではありません。

もちろん「方法論」が確立した手法は、「一定の成果」を出すことができ、また見積もりが作りやすいという点で利点があります。また、担当者が相手方が行っているということで、「何を依頼したか」が明確になるという利点もあります。

しかしながら、手間はかかるものの非構造化されたデータも、取り入れていくことは大切なことであると思われます。

確かに外資系企業の調査に関する体裁は、方法論が確立していないこともあり、また、納品物の体裁も形式的に整っていないところがあります。

しかし、新しい動きをとらえたり、いわば「感覚」の段階でいち早く情報をとらえ「動き始める」という点では、「方法論」や「パワーポイントの美しさ」を重視するのは必ずしも適切ではないという見方もできるのではないでしょうか。

経産省が2017年に出した「スキルセット」としてのIPランドスケープですが、真に欧米企業が行っていた情報収集は、「丁寧で完璧な方法論に基づく調査」ではなく、「情報感度を高く持ち、フレキシブルに情報を収集、分析する」という内容だったのではないでしょうか。


2020年12月29日

川瀬健人

【追記】日本語の持つ「方式」への傾向と英語のもつ「実質」への傾向

私たちは「言語」で判断を行うのが通常です。このとき、自分は「日本語で考えている」ことで「一定の制約」を受けていることに自覚的になる方はいらっしゃいますか?

私は、「日本語で考える」ときと、「英語で考える」ときは、感覚が変わるという実感があります。

参考までに自分自身の感覚を下に紹介しておきます。ご関心のある方はお時間のある時にご一読ください。

例えば、ここで例を示します。日本語と英語とで全く同一事象について考えてみます。テーマは文章を書くときに気を付けること、としてみます。

【日本語】日本語で文章を書くときに何を注意するかを一覧に挙げる。①論理的に矛盾がないか、②感情的表現を用いていないか、③敬語やですます調など誤りはないか、③伝えたいメッセージは明確か、④読み返してみて矛盾はないか、⑤文書中に誰かを傷つけるメッセージが意図して含まれていないか

このあたりでやめておきましょう。次に英語に移ります。

【English】 What Do I Need to think prior to writing English Sentences?(1) What should I really need to tell? What is the essential message? (2)  Am I convinced with my position related with the topic? Am I con or pro with the issue? (3) Does the topic really worth writing? Is there any prior articles that are far better than my ideas? (4) Related to the prior point, what is the purpose of the writing?

【英語で文章を書く前に何を考えておく必要があるだろうか?】(1) 何を伝える必要があるだろうか?最も重要なメッセージは何か?(2)これから書くトピックについて自分はどういう立場をとるか決めているだろうか?賛成か反対か?(中立か)(3)記述するトピックは書く価値があるだろうか?自分のアイディアより優れた内容がすでにあるのではないか?(4) 前の項目に関連するが、何の目的で書くのか?

おそらく、日本語で考えているときに私は、「形式面」を重視しています。英語で考えているときの私は「伝達内容」を重視しています。

英語には「第二言語としての英語がネイティブ」という人間が大多数である点が作用しているのかもしれません。こうした点が、結果的に大きな情報感度の差に表れているのではないかと考えています。


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