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図書館船

こちらのニュースを見ました。

本を積んだ船「図書館船」 再来年春に運航開始へ
11日の県議会一般質問で、池田知事は、建築家の安藤忠雄さんが提案する本を積んだ船が県内の島などを行き来する「図書館船」について、再来年春の運航開始を目指していることを明らかにしました。
「図書館船」は、子どもの郷土愛を育み、地域活性化や離島との交流拡大に向けて建築家の安藤忠雄さんからことし5月、県に提案されていたものです。
県によりますと、安藤さんからは「3000冊程度の図書を搭載できる小型の船舶を取得して改造し、来年度末をめどに県に寄贈するので子どもたちのために有効活用してほしい」という意向が示されたということです。
12日の県議会一般質問の答弁で池田知事は、「令和7年春の運航開始を目指し図書館船の効果的な活用などについて検討を深めていきたい」と述べました。
そのうえで、今年度中に、島民などへのアンケート調査や図書館の寄贈を受けたほかの自治体の事例を参考にして運営方法や財源確保などを検討すると説明しました。
(後略)
NHK NEWS WEB 23/12/12

調べてみると前例として、1961年建造の「文化船ひまわり」という広島県の船があったそうです。上の記事は香川県。ということは、どちらも瀬戸内海の島に住んでいる人向けですね。

さて、このニュースを読んで、実は僕はちょっともやっとしたものを感じています。

いいことを言っているように見えるけれども、それは環境にきちんと対応しているのだろうか。

前例の船「ひまわり」の頃であれば、実体のある紙の本を運ぶしかなかった。でも今では他の手段があります。ネットで情報が流通し物語も紙の本に縛られなくなっている今、これがベストのやり方だとは、いまいち思えないのです。例えば電子図書館を拡充した方が、どこに住んでいてもアクセスできますし、天候などに左右されないので、いいのではないか。電子図書館も色々問題あるなと思って見ているんですけれども。

こういう部分に僕が引っかかるのは、この手の話が出る時に、紙本信仰の匂いがして嫌だからなのです。論理的な帰結ではなく、後ろ向きで自分の育った時代への郷愁に溢れており、変化に対してアレルギーがある。人類の進歩を阻害するとさえ思っています。

環境が変われば生物はそれに対応するより他なく、それができなければ絶滅です。ということで、ちょっと厳しめの意見を持ったのですが。

さて、これだけ書いておきながら、実は今日この記事を取り上げようと思った理由はそこではなく。

「図書館船」っていう言葉の響きが、めっちゃよくないですか?

色々問題あるなという感想を上記のように持ったのですが、その後それを飲み込むように、でも図書館船という言葉の響きは素敵だなあという気持ちが湧き上がってきたのです。

施策としては論理的ではなく情緒的な雰囲気がマイナス評価なのですが、物語としては情緒を刺激する言葉は大切です。そういう刺激でイメージが膨らむ。「図書館船」から、色々お話作れると思うんですよ。

とりあえず、この記事を見てその言葉の響きにうっとりしたほんの短い時間で、僕は3つぐらいアイディアが浮かびました。現代劇はもちろん作れるし、ファンタジー、SFも行けますよ。

絶滅した文明を記録し続けて銀河系を巡回している図書館船とかめっちゃ面白そう。そんな妄想をかき立てられたのでした。

(ブログ『かってに応援団』より転載)

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