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キャプテン・ラクトの宇宙船 第4話

  四 準惑星ケレス

 二度目の仕事で、ラクトはケレスにやってきた。
 ケレスはメインベルト最大の天体だ。直径は九百五十キロメートルほど。他の小惑星とはちがい、この大きさになると重力によりほぼ球形をしており、分類上は準惑星ということになる。最大の天体であること、近い軌道に多くの小惑星があることなどから、自然とメインベルトの一大交易地となった。
 白くかがやくケレスが近づいてきた。いくつもあるコロニーの明かりも見える。ケレスにはうすい地殻の下に氷の層があり、宇宙では貴重な水を簡単に手に入れることができるので、多くの人が住んでいるのだ。
 トウキョウでは宇宙港は地上からのびる建造物だけれど、ケレスほどの大きさになると重力もほどほどあり離着陸にエネルギーがかかるため、宇宙ステーションとして作られている。二千キロメートルほど上空の静止軌道上に宇宙港が設置され、軌道エレベーターで地上と結ばれている。
「ラクト、管制から。外周三番軌道で待機だって」
「了解」
 ラクトはケレスからはなれた軌道に〈はやぶさ〉を入れる。多くの宇宙船が行きかっているので、順番待ちだ。入港するまでも一苦労。外側の待機軌道から内側の待機軌道へ、しばらく待って、さらに内側の待機軌道へ。何時間もたって、ようやく入港することが出来た。
 指定された船着場へ〈はやぶさ〉をつける。貨物用のエアロックを宇宙港側とつなぎ、荷物の運び出し。それは力持ちのロクローの仕事だ。無重力でも、大きな荷物を動かすには大きな力がいる。慣性質量といって、大きな物はその分動かしづらいのだ。その点ロクローは本体もパワー十分なうえ、宇宙でも自力移動できるようスラスターも内蔵されていて、こういう仕事にはばっちりだ。えっちらおっちらと荷物を倉庫に運ぶ。
「はいよ、ごくろうさん!」
 ラクトもロクローについて行って、出迎えてくれた業者の人から、受け取りにサインをもらった。そのあと例のごとくお茶に呼ばれ、がんばれよとはげまされる。
 そう、まさにがんばらなくては。
 帰り道、ラクトは、さあここからだぞ、と気合を入れた。みんなにはまだ、話していないことがある。それに〈はやぶさ〉の今後がかかっているのだ。

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