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ネクパブPODアワードと眉村卓先生

ちょっと前のニュースなのですが、インプレスR&Dが3/23に「ネクパブPODアワード2022」のオンライン授賞式を開催したそうです。この賞はAmazonのプリント・オンデマンドを活用した個人向け出版販売支援サービス「ネクパブ・オーサーズプレス」を利用した紙本の出版者を対象としたもの。グランプリには『投資ド素人が投資初心者になるための 株・投資信託・つみたて NISA・iDeCo・ふるさと納税 超入門』の著者であるEdit room:H(エディットルームエイチ)氏が選ばれました。

こちらの本は投資の「初心者以下のど素人」に向け、基礎の基礎だけを解説した一冊。すごいなと思ったのは、売れ方です。発売からは2年近く経っていて、現在でもコンスタントに売れている。カスタマーレビューは1000件超え、PODの紙版だけで、1万1千部以上出ているのだそう。電子版もあるのでそっちで買った人も多いでしょうから、全体としてはこの手の商業出版の本と比較しても、けっこう当たった方なのでは。

個人出版の売り上げがどうなっているかを著者の方みんなが公表してるわけではないので、実態はわかりづらいのですが、小説でも漫画でも、そしてこういう実用書でも、もうそこまで売れたら商業出版と変わらないよね、という事例はちらほら見聞きします。

当然それはてっぺんの方の例で、その下にどっさり売れない人がいるわけですけれども、その辺は商業出版でも同じ。小説家なんて、もともと専業なのは一握りと言われる世界です。

この間の漫画の記事でも書きましたけれども、0と1%、それどころか例えそれが0.001%だったとしても、その間には無限の差がある。ケモノ道だけど道があるのだ、というのは大きいなと思います。

さてそういう売れる売れないの話だけではなく、優秀賞を見ていて気づいたのは。

眉村卓先生の追悼本が表彰されてる!

眉村先生とは実はご縁がありまして。僕が小説デビューしたのは、岩崎書店と創作集団プロミネンス共催の新人賞を獲れたからです。受賞するとプロミネンスに入りませんかというお誘いがあり、僕は会員となっていて、新刊情報係としてこのあいだも更新していたりしましたが。

眉村先生はそのプロミネンスの大先輩で、総会や懇親会でご一緒して、お話させていただいたこともあるのです。

こちらの本は、コロナ禍で一回忌等に合わせた偲ぶ会が行えないとなった時に、では偲ぶ本を作ろうと刊行されたものだそうです。

こういう企画が立てられるのも、セルフ・パブリッシングのいいところですよね。売るという目的ではないところで本を作って広く頒布することができる。想いを優先して本を作り、想いを共有する人にあまねく届けることができる。

特にこの賞が表彰しているプリント・オン・デマンドは、紙の本を注文生産できるので在庫の問題がなくなって、実体のある本も自由に作れます。僕が利用しているのはBCCKSですけれど、こういう形で作られた本の利用が進むと、出版の裾野が広がって文化的に豊かになることが期待できます。

なのでどんどん流行ってほしいなと思っているのです。

僕もそろそろ次の単行本をまとめよう。

(ブログ『かってに応援団』より転載)

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