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銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE

2016年から活動しているセルパブSF雑誌『銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE』のnote版です。
明るく楽しく激しい、セルフパブリッシング・エンターテインメント・SFマガジン。気鋭の作家が集まって…
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2021年3月の記事一覧

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 18

18 公園に安西くくるの曲が鳴り響く。音楽堂のステージが、客席が、色で染められていく。私は水鉄砲のトリガーを引く、赤い塗料がナニガシに命中する。 「何メートル飛ぶんだ。水鉄砲の威力じゃねーな」 「きずな、ちかこ、ほのか、頭部をねらえ。ナニガシからの攻撃を見極めたい」 「了解」  ちかこの水鉄砲が、ナニガシを紫色に染める。ミッチは左手で水鉄砲を持ち、右手にはいつもの赤い拳銃を持っている。水鉄砲が緑の塗料を放ったあと、銃弾がナニガシの足を撃つ。次第に、獣じみた禍々しい肉体の全容が

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 17

17 土曜日。安藤さん、すなわち安西くくるの野外ライブの日、私たちはフータに高野台公園に呼び出された。野外音楽堂はほぼ満席だ。座席に座るにはチケットが必要みたいだけれど、園路や高台の芝生からも、すり鉢状になっているステージが見下ろせる。 「わあー、お客さんいっぱい。安藤さんこんな中で歌うのかあ。アイドルってたいへーん」 「人を呼び出しといて、フータはいないのか」 「準備があるから、あとから来るって」  振り向いたイチゴと目が合う。彼は品定めするように私のことを眺めて、なにかを

アンフォールドザワールド・アンリミテッド 16

16 高台の方から、イチゴとフータがひょうひょうと歩いてくる。 「あっ、ミッチがいる。おかえりーミッチ。なんかお取り込み中?」 「生き返ったか、しぶといなミッチ」 「おまえたちどこにいたんだ。ナニガシを取り逃がしてしまったではないか」  芝生の上に仰向けになったミッチは、自分に覆いかぶさっているちかこをどうしたものか少し迷って、彼女の背中にそっと手を回しそのまま座り直す。 「ここにナニガシいたの? あっちだと思ってフータと追ってたんだけど」 「やっぱりー、俺もこっちだと思った