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結婚して25年、一緒にチクタクチクタク

 100年休まずにいたわけじゃないけど、25年動き続けてくれた置時計が壊れちゃった。

 結婚して夫と新居。台所に時計がほしくて買った。

 割と私のゴリ押しで結婚したため、準備もバタバタで、ギリギリの経済状態での新婚生活。
 台所に時計がほしかったけど、できるだけ安いのがほしいと、「K-mart」という衣類含めた生活用品を売っている大型店で探した。
 そんなに長く、そのアパートに住み続けるわけでもないようだし、台所に壁掛け時計は必要ない。時間さえ確認できれば良いと買ったのが、5ドルもしない置時計。安っぽくて何の変哲もない、オシャレポイントもお気に入りポイントもない、大きさだけがちょうど良い時計。
 13センチ×15センチくらいの大きさで、四角くて冷蔵庫の上に置きやすかった。

※大きさがわかりやすいよう、ティッシュを横に置いてみました。

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 その後も引っ越す度に、リビングやダイニングなどから確認できる掛け時計とは別角度から見える便利な時計として役割を果たし続けていた。

 ダイニングの横にある洗面所では、割と慌てるように作業をしている。
 洗濯物を干しに行く時。時間はわかっているはずなのに、洗面所から洗濯物を持って飛び出る時に時計を改めて確認。
 夫の通勤時間に合わせて洗顔や歯磨きをしている時。息子が高校生いっぱいまでは、通学時間に合わせて。歯磨きしながら何度も時間を確認。

 その時にダイニングの壁掛け時計を見る、たった数歩出て壁を振り返る動作が、ほんのちょっとなのに面倒なのだ。だって一刻を争って気が急いて仕方ないんだもの。

 お風呂上がりも、さっきまで浴室で何時何分てデジタル表示を目にしていたのに、洗面所の扉を開けると目に入ってくるその時計で時間を確認できる。布団に入るまでの時間をそれで考える。

 便利だ。

 大きさも、ほど良い。
 目覚まし時計程度の大きさだと、洗面所からは小さく感じる。それにリビングやダイニングで「目覚まし時計」って何だか浮いてしまう。なんだろう。生活感が出てしまうのかな。いや充分にリビングもダイニングも生活感あふれているのだけど。
 まあ私の気持ちの問題か。

 どうしても必要かと聞かれたら、そうでもないのかもしれない。でも家の中で、そういうのってないかしら。どうしてもってわけじゃないけど、ここに時計があったら便利なのになあって場所。ないですか。おかしいな。
 この時計は、どこに住んでいる時も、私にとってそんな場所にあるのだ。

 時間がズレてくると、電池を入れ直してみたり、くるくると動かしてみたりして、しばらくそれで持つ。いよいよダメみたいと思うと電池を入れ替える。


 そうやって確かちょっと前に入れ替えたところなのに、もう動かなくなった?
 また入れ直してみる。
 しばらくして見たけど時間が変わっていない。
 あれ。電池の減りが早かったのかな。
 仕方なく新しい電池に入れ替える。

 しばらくして見る。
 あら。動いていない。

 困ったな。アマゾンで調べてみたけど、オシャレ過ぎたり、小さかったり、丸かったり、高かったりで、なかなか見つからないのよね。

 15センチくらいで四角くて置ける、かなり安い時計を見つけたのはニトリのホームページで。近々ニトリ行くか。

 あんなスーパーみたいなところで5ドルもしないくらいだったのに、25年間、よく頑張って動いてくれたよ。

 歯を磨きながら慌てている私。洗濯物を持って出てくる私。
 もっと前は食事をする私たち家族。大泣きする息子。地震で落ちてきた時もカウンターの下で怯えて泣く私とコンニチワしたね。
 楽しく笑っている私たち家族も、大泣きする息子も、夫の膝の上でご飯を食べる息子も、怒鳴ってしまった私も、一人で泣いている私も、ずっと見つめていたんだな。

 ありがとうね。


#エッセイ #時計 #置時計 #便利

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。