「ブラックパンサー」で印象に残った父親越えする息子、と強い女性たち

 ようやく観ることができた。「ブラックパンサー」!(※まだ数か月前に書いた文章です。なかなか時制が追いつきません。)


 ニュージャージーにて、その漫画を観た時のことを私は覚えていない。どんな内容だったか、そういう類のものだったか。ただ、「カッコ良かった」し、「すごく気に入っていた」。そして「日本では観られないことを知った時は、泣きたいくらい残念だった」ということはよく覚えている。ブラックパンサーやっていないの? と誰かに聞いた時に「ピンクパンサー?」と返されて、

 あのピンク色の細長いヒョウの漫画じゃなあい!

 全然認知されていなあい!!

 と哀しかったことを思い出す。
 そして、心の中からブラックパンサーをしめ出し、再びその名前を聞いたのが35年以上経ってからなわけである。よくぞその音を覚えていた、私。

 「ブラックパンサー」。

 幼い頃、何故好きだったのか覚えていないが、ブラックパンサーは、素性が面白いと思ったという記憶は残っている。幼い頃からの私の好みの傾向として、「見るからに強そう!」よりも、一見強いかどうかわからない人がタイプだったので、何となく想像はできる。ちなみに「バットマン」もバットマンよりロビンがかなり好きだった。5~6歳にして、なかなか目の付け所が良い!と自負している。
 目の付け所が!

 ……良いのか?

 映画だと、ブラックパンサーの強さは皆に知られていた。ちょっとその辺の記憶は35年も経てば定かではないのだけど(私の記憶力なんて数年くらい前でも定かではなさそうだけど)、誰もがその強さを知り、そして何よりもの特徴は、優しさや情にあふれていること。そして知能は妹が役割を担っていた。私はそれを「アベンジャーズ インフィニティ・ウオー」の時に知ったけれど。

 一応、「ブラックパンサー」の方が先に公開されていて、それを知ってこそ「インフィニティ・ウオー」の面白さもあるだろう。また繰り返し「インフィニティ・ウオー」は観る予定なので構わない。多分、今までのアベンジャーズたちの映画も今後観ていくだろうから、その度に、「インフィニティ・ウオー」の面白さが増していくことは間違いない。なるほどこういうことだったのか、と思いながら。
(そして「シビル・ウオー」を観た後に、「ブラックパンサー」自身や他の登場人物、そのシーンも出ていたことを知る)

 (この後、少々ネタバレあるので気にする方は読まないで下さい。)

 「ブラックパンサー」に関しては、あからさまに息子の父親越えという内容だった。大好きな父が、憧れだけではないとわかった瞬間、失望し、心が激しく揺さぶられる。失望した気持ちは否定となり、自分の思いをぶつける。息絶えそうな時に、「先祖の地で一緒に暮らそう」と誘う父親に対し、父親も先祖も間違った選択をした、世界から目を背けてきた、とはっきり伝える。

 そういう言葉をかけられた時、親は言い訳しようとし、何とか子供の気持ちを引き留めておきたいと思ってしまうものだが、本当は言い訳でなく、その時の自分の心情を話し、子供を傷つけたことを謝り、子供が正しいと思えばそのように表現すれば良い。子供は、そうした親の態度に、お互いを尊重することを知り、対等になったことに気付き、成長を遂げるというものだろう。

 子供がそういう言葉を投げかけている時は、成長を遂げる直前の、大人にならんとする自分の、親に対する甘えであり、決して気分良く言葉を放っているわけではない。自分の今までの気持ちをも傷つけながら言っていることを親は知っておくべきである。子供はその気持ちを抱えて超えようとしている。

 又、この気持ちに至るまでには様々なことがあり、直接的に強い動機があるにしても、他に当時元彼女としてナキアの存在も大きいと言える。彼女は「父親のあやまちはあなたに関係ない。あなたが自分でどんな国になるかを決めれば良い」というようなことを言う。国と人間とは規模が違うが、私にとっては子育てそのものを連想させられた言葉だった。ブラックパンサーはこの言葉を噛みしめて自分のものとして受け入れていったのだろう。

 この映画は、各国にいるアフリカ系○○人、と実際にアフリカにいるアフリカ人との違いについて描いており、ヒーローについての固定観念を崩す人種の問題について描いており、男の人だけではない女の人の強さも描いている。むしろ、女の人の方が強い。知力を妹のものとして描いたり、腕力もずば抜けて強い女性たちがいる。彼女たちは勇敢で、心も強く、感情的になることもあるが、冷静さも持ち合わせている。すごくカッコ良かった。

 「愚者は壁を作る」という言葉が印象的。人種問題、国、性差、人間関係、親子関係、すべてに通じる言葉だろう。


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