年上の人たちから見たら、アナタも私も、まだまだ若い
大人になったなあと思ったり、大人ってナンだと思ったり、老けたなあと思ったり、まだまだだと思ったりする。きっと幾つになってもそんなものだ。
ほんのちょっと……いや食傷気味に感じている件がある。
老けてきたことを、ちょっと自虐的に笑うのは面白がってみるけれど、ことさら「もう若くない」を「若い人にはわからないでしょう」と強調するのはどうなんだ。自分を含めて!
今年77になる母が言っていた。
「50代でもキレイ、キレイってさ。50でキレイなんて、あったり前よ!」
シミとかシワとか白髪とか隠せなくなってきて、さらには相方の耳や目の機能の衰えを感じている私にとって、なかなかのパワーワードだった。
70代後半の母にとって、50などキレイで当たり前なんですって。いや「あったり前」なんですって! が。頑張らねば……。
そんな母は「75超えたらちょっと様子が違う」と身体の衰えを訴える。
それは65の時も、70の時も感じたそうだけど、75はまた次元が違うのだと。
そんなに細切れに度々変わるのかと思うけど、40代後半になって思う。
5歳差って大きい。40代前半はまだ若いぞ。
大人になったら人によるし、5歳なんて大して変わらないでしょって思っていた。いや確かに人による。でも「私はこんなだよ。アナタにはないの?」「私にはそういうの、ないわあ」の驚きも確かにあるのに。「40代前半はまだ若いよね」と理解し合える不思議。
私の場合、45超えて更年期症状が辛くなったから、以前より「常に強い倦怠感と共に生きる」感覚だ。少しずつこうやって自分の体調の声を聴きながら暮らしていくのだろう。でも更年期症状が落ち着いてきたら元気になると聞いているから、めちゃくちゃ楽しみにしている。今だって偶然元気な日があると、「もう私、何でもできるんじゃない?」て気になる。
元々軟弱者の私は「元気でエネルギッシュ!」だった時期が10代半ば~20代半ばだけだった。それも「私なりに」だったので、周りの健康な人と比べると普通だっただろう。でも今後、体力的には難しくてもあんなふうな気持ちで暮らせるとしたら、あれもしようこれもしようの気持ち。
きっと今から年々、この体と折り合いをつけるようになっていって、身体と仲良くなってきた頃に更年期症状は抜けていく。
そこから今度は、快活に暮らしつつ、でも改めて老いを感じていくようになっていくのかな。
以前、某番組で私と同じ年頃の、アラフィフ芸人たちが自虐的に衰えを笑っていた。以前は、アラフィフのお笑い芸人の層はそんなに厚くなかったから、「若いようにはいかないんだよ」「自分たちだって若かったんだよ」と主張する人たちがいなかった。多分40代後半は「老い」を本当の意味でようやく体感し、向き合い始めるところだ。
だから40歳の芸人に向かって「40歳なんて、まだ30や!」と放った言葉に笑った。
40歳は30歳。
名言だ。
わかっている。40歳だって若い頃のようにいかないとはそりゃ感じているだろう。
20代半ばになると、10代の頃みたいに徹夜ができなくなる。10代の流行を追う元気な様子に少しずつついていけなくなる。何が流行っているのか以前ほど関心がなくなる。10代の人に「20代なんておばさん」とか言われて、わかってるよもう若い人にはついていけないから、なんて先手を打って言っておきたくなる。
30代になるとそれどころじゃなくなってくる。若い人たちの顔を覚える気はますますない。20代以上に肉の付き方も変わってくる。10代や20代の頃のように、無条件でチヤホヤされなくなる(この謎の「チヤホヤ」がすべてにつながる気はしているのだけど)。生活に振り回される。日々、現実をつきつけられる。
それで「おばさんだ」とことさらに強調し、声高に言いたくなる。
でも30代で体の衰えとか、老けてとか、人生がとか言われると、「40歳なんてまだ30や!」とも言いたくなる。
何故か多くの人が40歳直前に、「老けてきた」と共に、この先の人生を考える時期がある。
それを超えて40過ぎても、別に何か達観できたわけでなく、何となく年齢と共に衰えを甘んじて受け入れている。
そして、40代後半になってアレも衰えた、これも言うこと聞かないとか訴えると、50代の人に「そんなの諦めたよ~」受け入れ済み、超越したと笑われる。
それと同じように、私が30代の人の「老けた」「おばさんが」「おじさんだから」「若い人とは違う」と人生がわかってきた風な言葉に出会うと、いやいや……30代なんて若いんだよ。って思う。
若い人たちを中心とした思考が「ベスト」なわけでもなく、こちら側だってベストでもない。若い人たちには、若い時にしかない感性や新しい考え方を生かしてもらうべく、その考えを「大切に」考えたい。今後の時代を少しでも良い方向に変えていってほしい。それは多分、新しい思考を「持つ」だけでも力の一つとなるだろう。私たちも古い考え方を残しつつ、良くなかったなあと思い返すものは、バトンとして受け渡さないよう気をつけたい。
身体の衰えをしみじみと実感させられる年齢は、45過ぎてからだ。
そしてこれも年上の方たちからしたら、50なんてキレイで当たり前らしいから、新しく出会う、老眼を始めとした体の現象には、ちょっとだけ自虐的に笑いそれを楽しむくらいの気持ちで、あとは大人ぶらずに「でもまだ若いんだから」の気持ちを持っていたい。
どの世代も、それぞれが主人公で、互いを尊重できると良いな。