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レストラン行っても、払う料金は若い頃と同じ

 気が早くて鬼も笑うと言うけれど来年、結婚25周年になるから、昔行った高級レストランについて夫と話題になった。

 昔行ったレストラン。
 当時は確か結婚7~8年目、30代前半。有名で、少し高級なレストランでフレンチだの食べる憧れがあって。でもまだ若い私たちは……いや私の考え方もあったんだよな……無理してまで高いコースを選びたくなくて、安いランチコースにした。それでも私には充分美味しかったし満腹になった。
 もう一段階か二段階、レベルを上げた高いコースはもっと歳を重ねて、経済的に余裕ができたら頼むようになるのかなあ。
 うっすらそんな風に思い描いていたけど、夫がこの前、その高級レストランのコースを見て驚いていた。

 「高っ!」

 値段を聞くと、一人分でそれ? ってツッコミ入れたくなるなかなかの値段だ。庶民感覚だと、3~4人分としてもちょっとしたコース料理と言って良いくらい。

 「しかもきっと……」

 「食べきれないよ」
 二人の声がほぼ合った。

***

 大学生の頃。
 友達とマクドナルドに行ってセットを食べた終わり、「足りへんよね」と笑って二度目のレジに並ぶ。
 ハンバーガー二つ目を食べ終わり、友達とまた目が合う。
 「どうする? 三回目はさすがに恥ずかしくない?」と乙女心で我慢した。
 そんな話を前にも書いたことがある気がするけど、まあそのくらいの、今思えば驚異の食欲と胃の丈夫さだった。
 私は今より体重もあったけどそれでもパツーンと引き締まっていたなあ。一緒にいた彼女は痩せ型だった。体型など関係なく、10代~20代後半くらいまでは食欲の全盛期と言えるのかもしれない。
 結婚後も夫と焼き肉店に行けば、食べても食べてもまだもうちょっと食べたくて、これ以上はさすがに太るよなあと我慢した。
 自分の食欲と食べれる量とのせめぎあい。

 ちょっとオシャレなバーとか気取った居酒屋に行くと、一皿が高いのに少なくて、夫に「それほどお酒飲まない人にしたら、足りないんだよなあ」とブツクサ言っていたはずだ。でも一品が高いし、ガツガツ食べる場所ではないから我慢していた。

 それが今や。
 ちょっとオシャレなバーや気取った居酒屋さんの何皿かで、充分「お腹いっぱい」ってなっているではないか!
 体形はむしろだらしなくなっているのに。

 この前、「飲めなくなったのだ」なんて書いたけど、量も食べられなくなってきた。

 だから今の私は、ちょっとしか料理が出ないようなバーも、大歓迎で連れられて行くのだ。

 息子が今はまだ食べ盛りだからなのか、何か食べたいものはと聞くと「マクドナルドに行きたい」とか言う。ファストフードにわざわざ連れて行くのかと思うのだけど、リクエストしてくる。行ったとて私はお子様の食べるハッピーセットの量くらいで良い。実際に息子の付き合いで食べる時には、ハンバーガー一つとポテト数本くらい。それ以上食べると太るとかじゃなくて、胃の調子が悪くなって食べた直後から2、3日、具合が悪くなるから。

 すっかり内臓が疲れやすくなってきた私。もちろん結婚25周年記念は、高級レストランの立派なコースじゃなくて、量がちょこっと出てくるレストランやバーで、ちょこっと食べて乾杯するつもりだ。

 25周年だろうが安上り。

 私はそれで満足なのさ。

 来年はもう少し気楽に心から外食を楽しめるかな。それがまだ気がかりだけど。もしまだ楽しめない頃なら少し先延ばししても良いから、気持ちだけは盛大にお祝いするぞー。

#エッセイ #食欲 #年齢 #結局同じくらいの値段 #来年 #結婚記念日 #祝う

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。