素敵な小児科医さんたち~息子との交流~

 ふと大好きな小児科医さんたちについて書きたくなりまして。
 「たち」と書くと、大好きなのに何故一人のかかりつけ医にしないのかと思われそうだけど、息子が生まれてから1歳半くらいまで、私たち家族は札幌に住んでいまして。そこから今住んでいる土地に引っ越してきたのです。


 そんなわけで、二人いるんです。大好きな小児科医。二人。

 大好きな小児科医って、どんなものなのか。


 子供が生まれたのは結婚して5年ほど。そこそこ年数経ってきていたので、二人で力を合わせることができたし、札幌に住み始めてからも4年ほど。私も札幌に慣れてきたけれど、初めての赤ちゃんを目の前に、どうしたら良いのかわからないことだらけだった。

 幸い、児童館の集まりが多くて、徒歩圏内に3つあり、どこも曜日が決まっているだけで、午前中なら何時に行ってもかまわなかった。夜泣きに振り回されて朝起きることができず、集まりが終わる30分くらい前に行っても、「おー来たね~」てな具合で歓迎され、気持ちが救われた。母親友達もたくさんできて、行き来があった。それでも心細くて不安になることは多々。

 息子は0歳代の頃から周りの母親友達たちを引かせるほどかんしゃくが強くて、私もヘトヘトだった。親にとってもわからない理由で泣き続けることは多分どこでもあると思うのだけど、ある日私が参っていたのか、どこかおかしいのではと心配し過ぎて、近所の医者に連れて行ったことがある。電話したら「どうぞ来て下さい」と言われて、連れて行った頃には泣き止んでいた。まあそんなもんですよね……。


 老若男女診てくれる医者だったので、混んでいるのだけど、快く様子を見てくれた。周りの母親友達にも「赤ちゃんを可愛がってくれるお医者さんだよね」と評判良かった。

 息子は、聴診器を当てると、当てた瞬間に、にやあと笑って先生を見上げるので、それを先生が面白がってくれていた。その日は私が「泣き止まなかったんです」と訴えると、ウンウン、でも今泣き止んでるね、とニコニコしてらっしゃる。僕の前では泣いたところを見せてくれないねえ、なんて言ってちっとも私を責めなかった。病気なのかそうじゃないのかなんて見極めできないよね、心配だったらまたいつでも来て下さいねとおっしゃる。予防接種の時には、別室で注射を打たれて号泣している息子を「こんな顔して泣くんだー」とニタニタしてのぞきに来たこともあった。


 必死な形相で頑張っていたであろう私を、先生は文字通り、温かく見守ってくれて、その態度や表情に、どれだけ救われただろう。

 そして1歳半くらいで、今の土地に引っ越してきた。なかなか合う医者が見つからなかった。大泣きする息子に「こんなに泣かれちゃ診れないよ」と吐き捨てるように言われちゃったり、薬が合わないのか症状に何も改善がなかったり、何も診ないで私の話をパソコンにそのまま入力だけして薬を出してきたりと、どこも納得できなくて、あちこち回った。そしてそう遠くもない所に、息子に合う小児科を見つけた。そこもやはり内科がついているので、老若男女診てもらえる。

 結局そこでそのまま、10数年診てもらっている。

 赤ちゃんや子供が泣いても動揺しない先生で、こちらの話を聞いてもらえるし、質問にもきちんと答えてくださる。喉を見るとどんな様子かを必ず言葉にする。聴診器を当てると、どんな音が聞こえるか、少しでもおかしければ伝えてくる。


 印象に残っているのは、息子が幼稚園生くらいの頃。この辺りは雪が降るので、スキーを始めた息子は、そのゴーグルがいたくお気に召しまして。その日は風邪をひいて、先生に診てもらいたかったのだけど、ゴーグルもつけたまま病院へ行き、診察室に。
 「あれ? 今、雪降ってるの?」と笑われた。付き合いが良い先生なのだ。診察の時だけちょっと外し、また着ける。息子は鼻をたらしているくせに、ゴーグルをつけたまま得意げな顔をして、病院を後にした。


 ある時の息子は、割りばしにピンポン玉をテープでくっつけて、診察室に入り、「どうしてお医者さんになったんですか」とマイクに見立てて、インタビューしていた。先生が何故医者になったのか本当に聞きたかったわけではなく、単にインタビュアーのマネをしてみたかっただけだ。でも先生はわかりやすく簡単に答えてくれた。ちゃんとピンポン玉の辺りに口をもっていって答えていた。息子はまた鼻をたらしているくせに、ピンポン玉のくっついた割りばしを持ったまま満足げな顔をして病院を後にした。


 息子の性格にも、私の不安そうな態度にも、そして愛想が悪くなった思春期の息子に対しても、丁寧に接して下さり、いざという時も頼りになる、大好きな先生だ。


 こういう先生がたくさんいれば良いのにと思うのだけど、他の診療科目などでも、なかなか出会えない。悲しい思いや釈然としない気持ち、或いは不安を抱えたまま病院を後にしたりすることは少なくない。

 この二人の先生は、親としてつい過剰になってしまう心配の言葉も受け止めてくれて、質問にも嫌な顔一つせず答えてくれる。混んでいたってイライラしないようだし、薬も息子に合っているようで、的確。子供たちに対しても付き合いが良い。
 彼らの態度に、励まされ、安心したことは例を挙げるとキリがないほど。素敵な小児科医が身近にいることは、子供の体調の悪さを直すだけではない。疲れ果てている親を慰め、それはあたたかな育児につながる。とても大事な存在。


#小児科医 #子供へのつきあいが良い #子供も安心 #親も安心  

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