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慣れないレジで話しかけられる

 スーパーで、レジに品物を持って行く。
 店員さんが値段や数を打ち込み、かごに入れていく。
 そんな時代はすっかり終わって、バーコードを読み込んで、かごに入れていく。
 さらにセルフレジができて、店員さんのレジが混んでいる時や自分の買おうとする品数が少ない時、品数多くてもそこに人が少なければ気分によって自分で行くようになった。

 私が慣れているのはここまでだ。

 店員さんがレジを通して金額を言い、「〇番でお願いします」と誘導されるシステムが最初すごく苦手だった。何故苦手なのかわからないけど、今もあまり好きではない。店員さんに金額を言われ、キャッシュレス化とかエコバッグとかそういったことにも気を配った言葉をかけられる。「現金で」と宣言すると「払おう」「ここで」と気持ちが準備されるからだろうか。
 〇番で自分の金額が表示されて、支払いをする機械にお金を入れる。一つのレジにつき、だいたい二つの支払い機が対応されている。

 先日、どうしてもそのスーパーに行きたかった。みかんの品種で好きなものがあるためだ。そのスーパーは全体的に安いのだけど、陳列の仕方が狭くてごちゃごちゃしているのと(←それが売りだとはわかっているのだけど)レジがどうも好きじゃない。でも果物が美味しくないともっとガッカリなので、できるだけ心を無にして行く。

 レジで金額を言われ、指定の支払い機に行く。「少しは慣れたかなあ」と自分の気持ちを奮い立たせていると、横にいるおじいさまに声をかけられた。


 「ちなみに、これはどこに入れるの?」

 お札を手に私に話しかけているではないか。

 たった今、私もお札を入れてお釣りをもらった。一連の作業が終わった私を頼っているようだ。
 なのに横から見ると「ここにお金を入れてね~」とばかりに、あちこちピカピカ光っている。お札の部分も入れるところとお釣りが出てくるところとただのヘコみがあってそこらじゅうがピカピカしているので、私までわからなくなってきた。正面から見ると上から見下ろしているためか自然に入れていた部分が、横からだと見えている部分が増えちゃって。
 「あれ? ここかな? ここじゃないですか? あっちがうか。いやここかな? ここですよ多分」
 なんて結局手当たり次第に突っ込んでみなよと、全然助けにもならない言葉をかけて、おじいさまもそんな私に翻弄され、あーでもないこーでもないと、二人で一瞬盛り上がってしまった。

 すみません。全然頼りになりませんでした。
 恐縮してその場をあとにしながら、そういえば「ちなみに」って声かけられたなあと思い返した。そんな言葉をきっかけに話しかけてきたおじいさまをちょっと可愛く可笑しく思って、うふんと笑ってしまった。
 何の「ちなみに」よ。でも昔はそんな話し始め方、よくあったよなあ。

 中高年の人にとっては、レジがどんどん進化してきっと困っているんだよね~。服飾店や雑貨店などスーパーではないところでのレジが多様になっていても、そんなに並んでいる場面はないので、少しくらい戸惑いながらもその都度対応できる。店員さんも「こうしてください」「ああしてください」と声をかけてくれる。

 でもスーパーだと人が並びやすいから焦るんだよなあ。コンビニなんてもっと種類あって、戸惑いまくっている。


#エッセイ #レジ #セルフ #進化 #戸惑う #ちなみに


読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。