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【かるた】す/スズメ

【す】
すずめ するする すっからかん

〈スズメはしっかり見て描く事が大事と言うことを教えられた話〉
スズメを見ると必ず思い出す事がある。
それは私が小学4年生の頃の話。当時の担任は新卒の女の先生でサバサバした性格と長いさらさらのロングヘアに子供たちのたわいもないおしゃべりにも付き合ってくれる人気の先生だった。

ある日の図工の時間。
「今日は特別な授業をします」と先生は言った。生徒たちがザワザワするものの先生は気にする様子もなく話を進める。
「みんな、スズメは知ってる?」
クラス中の生徒が笑って「知ってるよー」「あたりまえじゃーん」口々に叫ぶ。
「じゃ、描ける?」
「ザワザワ、、、」
みんな頭の中でスズメがチュンチュン鳴く様子を思い浮かべるもののそのスズメ達はどれもぼんやりとしたもので茶色っぽく小さい、ほっぺのあたりに丸い柄があったような、、だんだん尻すぼみに自信がなくなる。

そこで先生が一枚の画用紙を取り出した。
「これは、先生が何も見ずに描いたスズメです」
その白い画用紙にはなんともイビツな、まるで飛べそうにない「ひょっとこ」みたいなスズメがいた。かろうじて鳥である事とほっぺの丸でスズメかもとわかるレベル。

クラス中がどっと笑った。

生徒の反応をみて一呼吸置いたあと先生は続ける
「みんなは、スズメなんていつも見てるから見なくても描けると思ったと思うけれど描こうと思うと描けません。それは意識して見てないからです。先生がこの後ちゃんと図鑑で調べて見ながら描いたスズメはこれです」
見せてくれた新しい画用紙には紛れもないどっからどうみてもスズメが描かれていた。なんならとっても上手な。

「では今日は良く見ながら描いてみましょう」とその後みんなで「たまご」のデッサンをした。白くつるんとした殻の印影を再現しようとみんな卵が割れるんじゃないかと凝視しながら描いた図工の授業が今も忘れられない。

あの授業で先生は物事の形や本質はイメージではなくて「見ようと意識する事」によって見えてくると教えてくれたのではと今になって思う。

そして今日の話。

小さい人は朝から機嫌が悪かった。「お出かけしよう」と誘ってもダラダラとゴロゴロしているし「靴下履いて」と声を掛けても「車に乗って」もすスルーされ遂に「何故お願いが聞けないのか、行きたくないのなら行かない!」と怒ってしまった。

小さい人はダラダラしてエンジンが掛からない事が良くある。その都度、次の楽しい提案をしたり競争をしてみたり口にマリオのグミを放り込んで「エネルギーチャージ」したりしてなんとかなるのだが今日はどれも上手く行かなかった。

なんとか仲直りして出かけてもこちらの声がなかなか上手く伝わらない。だからもうこちらがギブアップしてそうそうに引き上げて帰って来たのだが、車に乗るとマスクを外し「暑い」と服を1枚残して全て脱ぎ(確かに暑かった)その後くしゃみを連発。鼻水をずりずりすすり出す。

はじめ脱いだから寒くなったのかと思ったらよく見ると目の周りが赤い。カサカサもしている、、思い返すと何日か前から鼻が詰まってフガフガいってる。

これは、もしや花粉症ではなかろうか、、。

「小さい人の観察も大事と言うお話〉
近いうちに病院へ行こうと思います。

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