河
掌編・短編
日記です。
感想でも考察でもなくメモ
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同監督の前作『林檎とポラロイド』に夢中になり、新作が観られると知ってAppleTV+に加入した。 SF映画、というと難しくて置いていかれないか不安になる。しかしこの映画は単純。恋人の爪からふたりの相性がわかる世界。電子レンジみたいな機械に、彼氏と彼女の爪を入れるだけ。三分も待たずに結果が出てくる。とっても簡単。そして「こんなので本当にわかるの?」という気持ちさせられる。結果は100%、50%、0%の3パターン。わりと極端。 設定は簡単でも、物語の答えを出すのは難しい
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サボっちゃった。最後の更新から30本くらい観ました。特に好きだったものピックアップ。 『家からの手紙』(1976,ベルギー・フランス) アケルマン特集で。上京先のニューヨークの映像に、母からの手紙の内容がナレーションで流れてくる。お母さんが心配してくる手紙が鬱陶しくもあり、恋しくもあり……。 『ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと』(2022,カナダ) スターチャンネル配信の1話1時間・全5話のドラマ。尺の使い方が上手い。最近の3時間くらいある映画、もうドラマにし
【コヨーテの男と鉛筆キャップ、詩の冷凍庫】 苦しい日はなにか書けばいい。 コヨーテの話を書く。 わたしはタイピングができる。 コヨーテの男とは区役所で出会った。 仕事も金もないわたしは、色々な支援を申請しに来ていた。 彼もそうだ。 わたしが見つけた時、コヨーテの男は鉛筆をカッターで削っていた。 彼はコヨーテのための支援の申請書を、鉛筆で書いていたのだ。 机に散らばった削り屑を、サッと集めて、ポケットに入れる所作がよかった。 申請書というものは、ボールペン
『リトル・マーメイド』(2023,アメリカ) まだふたりが出会っていない序盤、船の上にいたエリックが海に落としてしまった望遠鏡を、海底のアリエルが拾う。人間の道具を収集しているアリエルは、手に取ってすぐにそれが「見る」ための道具であることはわかったようだが、使い方はわかっておらず、逆から――見る対象へ向けなければならない方から覗き込む。望遠鏡の落とし主であるエリックがまだ手にしていないなにかを見ようとしていたから、つまり間接的にアリエルが見られる側だったということを示して
『人生模様』(1952,アメリカ) 久々に50年代の映画。O・ヘンリーの短編5本を原作にしたアンソロジー。「警官と讃美歌」「クラリオン・コール新聞」「最後の一葉」「赤酋長の身代金」「賢者の贈り物」。それぞれ違う監督が撮っているのだが、5人中3人が「ヘンリー」という名前なのは偶然? 「賢者の贈り物」の冒頭、募金箱の上に「受け取るより与えよ」と書かれている。聖書の一句だろうか。誰かの名言だろうか。この文言は、5つのエピソードすべてにかかっているようだ。金を返して、目的を達成す