映画メモ―『人生模様』

『人生模様』(1952,アメリカ)

 久々に50年代の映画。O・ヘンリーの短編5本を原作にしたアンソロジー。「警官と讃美歌」「クラリオン・コール新聞」「最後の一葉」「赤酋長の身代金」「賢者の贈り物」。それぞれ違う監督が撮っているのだが、5人中3人が「ヘンリー」という名前なのは偶然?
「賢者の贈り物」の冒頭、募金箱の上に「受け取るより与えよ」と書かれている。聖書の一句だろうか。誰かの名言だろうか。この文言は、5つのエピソードすべてにかかっているようだ。金を返して、目的を達成する。金を欲しがっていた老人の画家は、命を捨てて葉の絵を描き、若い女性の命を救う。逆身代金でクソガキとオサラバ。「賢者の贈り物」はタイトル通り。
 浮浪者がわざと捕まって刑務所で冬を越そうとする「警官と讃美歌」では、傘を盗んで警察を呼ばせようとするものの、盗もうとした傘が実は置き引きされたものであったため、持ち主に逃げられてしまう。で、仕方なく持っていくも、この傘がなかなか離れてくれない。行く先で捕まるのに失敗しては「忘れ物だよ」と自分のものではない傘を渡される。ナンパに失敗した際、相手の女性にプレゼントしてしまうことでようやく手放せる。原作にはない要素がよりメッセージ性を際立たせ、5つのストーリーに統一感を持たせていたのは面白かった。


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