見出し画像

【暮らし】にんげん in 女湯


銭湯が好きだ。



街に根付く小さな公衆浴場から、巨大なテーマパーク並みのスーパー銭湯、地方の温泉旅館まで、
お風呂が好きなのだ。

泉質へのこだわりは特にないが、天然温泉ならマルだし、サウナが付いていたならニジュウマルだ。

なぜ好きなのか考えてみると、さっぱりして気持ち良いとか、代謝がよくなるとか、ぐっすり眠れるとか、お風呂上がりのビールが美味いとか、いろいろあるけれど、銭湯の雰囲気が好きなのかもしれないということに気がついた。
 


銭湯には老若男女が集まってくる。


私の仕事は平日も週末も休みが取れるフレックス制のため、銭湯に行く時間もまちまちなのだが、観察してみると、客層は曜日や時間帯によって微妙に異なっているのが面白い。

平日の昼間に行くと小さい子供を連れた女性が母親と来ていたり、常連であろう高齢の女性たちが偶然の邂逅を楽しんでいたりする。

一方、平日の夜は仕事終わりらしき服装の女性が銭湯に寄って帰る姿が見受けられるし、週末はファミリー層に加えて、高校生や大学生などもやってくる。


そして彼女らはお風呂に入るために、もちろん裸になる。

銭湯の湯船の中でぼーっと洗い場を眺めてみると、まあ色々な身体があるもんだ。
張りのある胸を持つ人、タトゥーのある人、萎んだ身体、膨らんだ身体、乳首の大きさや色も人それぞれだ。

性の対象としての身体と、銭湯で見る身体は同じはずなのに、場面が違うとこうも違って見えるのが不思議だ。
きっと恋愛感情とか雰囲気とか性欲とか、いろいろなものが混ざって、見る身体はまた違って映るのだろう。

大人のマナーでジロジロは見れないのが悔しいが、いろいろな身体を見ながら私の頭の中に流れているのは、「いいな、いいな、に〜んげんって、いいな」だ。 

「まんが日本昔ばなし」のエンディングで流れていたあの曲は、裸のにんげんが森の動物たちと歌いながら踊り、でんぐり返しをする、牧歌的な雰囲気を醸し出している。


普段、人間には社会的役割があり、人の目を気にしながら、服装や身だしなみや持ち物で自分を表現している。
しかし、銭湯という裸フィールドではそれが通用しない。

しかも銭湯という場所の関係上、異性の目もない。

異性の目があることで、往々にして女の仲がぎくしゃくすることもあるので、女性だけの空間というのは極めて平和だ。
もしも誰かがすってんころりんなどしようものなら、いち早く皆が団結するのではないかとも思う。


もちろん、女同士で集まった時の品定めやマウンティングなども存在しない、だって裸なのだから。 

ああ、だから私は銭湯ではギャルも怖くないんだ。(そもそも銭湯にギャルは来ないかもしれないが)


銭湯は「にんげんっていいな」の世界に戻ることができる、唯一の場所なのかもしれない。

服を着ている状態では決して味わえない、自然没入感覚。



ああ、また銭湯が恋しくなってきた。
 

夏の暑い日に友達と会う日は、銭湯に行ってから一杯やりたいんだが、なかなか付き合ってくれる女友達がいない。 


裸でにんげん同士の付き合い、どうだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?