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語学、語学番組、語学の本

語学が好きと言うと、海外旅行が好きなの?と聞かれることが多かった。
いまだに日本を出たことはなく、海外旅行がしたいわけでもない。
留学も移住も予定はなく、外国語を話す知人もいない。
じゃあ、なんで語学?って言われると、とっさにはうまく説明できない。

もともと学校での英語は特に好きではなかった。
がんばって覚えても覚えても知らない単語がある果てしなさ、
自分の口から出る発音のどうにもならないカタカナ感、
外国人講師に対面したときに勝手に感じてしまう恐怖、
苦手意識の方が強かったかもしれない。

大人になってから、なんとなくNHKの語学番組を見るようになって、
最初は大学の第二外国語だったフランス語だけ見ていたのが、
ついでにイタリア語、ドイツ語、スペイン語、と見るようになり、
そういえば英語忘れてきたかも、と英語も。
覚えなくても下手くそでも構わない気楽さがよかった。

語学番組の何が楽しいのだろう。
この言語ではそこ区別するのか!それは一緒でいいの?など考え方の違い。
各国の食べ物や習慣、文化が紹介されるところ。風景。人々。
カタカナで日本語になってる言葉が原語で知れる。
テレビなどで外国語が聞こえた時に、意味はわからなくても何語かわかる。
・・・というようなささやかなおもしろさだろうか。

沖縄方言や東北弁が流れた時、わからないけど響きがいいと思う感覚も似てる。
エジプトのヒエログリフやマヤの古代文字を見て、
何が書いてあるんだろう?とワクワクするのと同種の感覚もある気がする。

NHKで見れる全部の言語(9ヶ国語)の番組を録画していた時期があった。
はりきってメモを取りながら見たため家事と並行できず、
見きれずに溜まっていき、録画容量が足らなくなる、と夫から苦情が出た。
元のヨーロッパ5カ国語に減らし、メモはあきらめ、
家事をしながら見るだけにして、録画が片付いたらまた増やして・・・。
今はテレビではアラビア語とロシア語がなくなって7カ国語が見れる。

一番難しく感じたのは初めて見たアラビア語。
日常生活で接する機会が少ないからかもしれない。
あの右から左へ書く不思議な文字は、一文字の時とつながった時で変形する。
最初にその文字の変形するところをアニメーションで見た時、
ええ〜!と衝撃を受けた。通りかかった夫も「マジで!?」と驚いた。
あれは筆記体とか書道の草書体みたいな感覚なんだろうか?
番組では普通のabcのアルファベットで書かれた字幕(発音記号?)が出ていた。
だからセリフを追うことはできたのだけど、
男性にはこう言う、女性にはこう言う、などあり、覚えるのが大変そう。
でも、ピラミッドとか出てきて観光情報がおもしろかった。

ハングル語もどうにも文字が覚えられない。
ハングル文字はすごく記号化されてわかりやすい仕組みになっている。
だけど、わかりやすいのと覚えやすいのとは違うというか、
番組をぼんやり見ているだけでは、パッと見て読める所までは程遠い。
昔、母と『チャングムの誓い』を見て以来、韓国時代劇はいくつか見た。
イ・サン、トンイ、馬医、オクニョ、ホジュン、どれもおもしろくて、
イ・ビョンフン監督の自伝的な本も読んで、読み終わったのを母にあげた。
『チャングム、イ・サンの監督が語る韓流時代劇の魅力』(集英社新書)
母の方が韓流ドラマをたくさん見てるから、読んでおもしろかったらしい。
字幕版のドラマを見ていると、時々、日本語に似た言葉が混じる。
文末が「よー」だったり、耳で聞いているとなんとなく親しみを感じる。
Eテレ講師の先生が、ある例文について、よく似た2つの場合が、
とっさに、どっちがどっちだったかわからなくなっちゃたら、
「どっちにも聞こえるようにゴニョゴニョって言えばいいんですよ」
とにっこり言っていたのが印象的だった。

中国語はイモトアヤコさんが出ると知って、面白いかも、と見始めた。
中国語は音程が難しいというのは昔だれかに聞いた。音痴には話せないとか。
どんなに複雑な音程か、と思ったら第一声から第四声の4種類だった。
4種類ならわかるかと思ったらそうでもなくやっぱり難しい。
微妙な高低のつけ具合があるようす。
中国語は字面はなんとなく意味がつかめそうなのに、音は全然違う。
漢字の形の違いや、同じ字で意味が違うところは雑学としておもしろい。
番組に出てくる熊悟空(パンダ+孫悟空)が出てくるミニ番組“漢字ふむふむ”は、
私が見てるとこどもも振り向いて見てたりする。

ロシア語はPが“ら行”の音だったり、英語にはない文字が入っている。
Nが反対向きになったような文字とか。ヨが右に倒れたみたいな形のとか。
書き順てあるんだろうか?どこから書いていいのかわからない。
同じシリーズが何回か再放送されて何回か見たけれど、
記憶に残っているのは言葉よりも映像。
マトリョーシカ、きれいな庭園、豪華な劇場、ボルシチ・・・。

英語フランス語イタリア語スペイン語ドイツ語は
見慣れたアルファベットで書かれていてありがたい。

スペイン語でおもしろいと思うのは、
文末に“!”や“?”のつく文は、頭にも逆さまの“!”や“?”がつくところ。
番組にはスペインだけじゃなくスペイン語圏の国がいろいろ出てくる。
そして国によって若干違う言葉があるのも楽しい。

ドイツ語は、男性女性中性の3種類の名詞、文法は難しそうだけど、
モーツァルト、ベートーヴェン、バウムクーヘン・・・
文化の面で好きなものがいっぱいあるので何が紹介されるか楽しみ。

フランス語を第二外国語に選んだのはなんでだったかというと、
父が「そりゃあフランス語だに」と言ったからだった。
しかしなぜ父がフランス語を推したのかは謎のまま父は逝ってしまった。
父の趣味を思い浮かべてもフランス語と全く結びつかない。
聞いておけばよかった。
今になってみると、各国語を知ってて自分で選んでいたとしたら、
フランス語かイタリア語だったと思うので、父の判断は当たりだった。
フランス語の音はふわふわと軽く柔らかい感じがする。

イタリア語といえば、音楽用語のアレグロとかもイタリア語だし、
パスタとかティラミス、最近ならマリトッツォとかの食べ物もそうだし、
こどもが何十回も見た『カーズ』に出てくるルイジとグイドも話してるし、
イタリアは美味しくて楽しいイメージ。

英仏伊の3カ国語がわりと好きなので本も買ってみた。
『フラ語ボキャブラ、単語王とはおこがましい!』(清岡智比古/白水社)
例文に、笑点やサザエさんの登場人物が出てくるのが楽しい。
単語を覚えるための本なのに読み物みたいに読める。

『読まずにわかるこあら式英語のニュアンス図鑑』(KADOKAWA)
絵がかわいいからか、こどもも見てくれた。

『よく使うイタリア語の慣用句1100』(白水社)
動物、食べ物、など慣用句に含まれる単語の種類ごとに章になっている。
寝る前に少しずつ読んでいる。

『風変わりで愛しいニッポン』(マッテオ・インゼオ/NHK出版)
テレビでイタリア語に出演の先生のエッセイなので迷わず購入。
イタリア語と日本語と両方載ってる。
時々イタリア語も見比べながら日本語で読んで楽しかった。

『語順でシンプル英語文法マップ』(大西泰斗/NHK出版)
英会話⭐︎定番レシピの大西先生の本。わかりやすい。
教科書的な本だけど、番組の楽しい雰囲気を思い浮かべながら読む。

朝ドラのカムカムエヴリバディのようにラジオを真剣に聞けば、
もうすこし身につきそうと思うけれど、上達より楽しさ優先で
家事で手がふさがってても音と文字と映像が入ってくるテレビを見ている。