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瓦
2022年9月28日 21:10
知らぬが仏とは昔の人はよく言ったものだ。一度その魅惑的な尻尾を見つけたら、穴の中から引っ張り出さなくては気がすまない。若さとはそういう事だ。しかしそんな愚にもつかない好奇心など、どこかの駐車場のごみ箱にでも捨ててしまえばいい。足で踏みつけてそいつが二度と頭を持ち上げて、こちらの隙を見て微笑みかけるのをやめさせなくてはならない。黄金のアークをひとたび開けてしまったら最後、もちろん知ってるだろうその
2022年9月13日 15:08
ある秋の青い空が小さな湖畔に映り光っている。他に湖畔に映るものといえばうんざりするほどの木々の緑。ヒキガエルが一匹、枯れた石の上で日々の鬱々とした不満を撒き散らそうと鳴いている。湖畔に沿った山道はカーブを描き、タージマハルを模したピンク色のラブホテルの脇を通り、麓の市街地まで続いている。桜の木が一本、ガードレールと湖畔のあいだに生え、枝は密集する木々の僅かな隙間に伸びて、幹には黄緑色の苔が生えて